北設楽郡設楽町は、名古屋から車でおよそ2時間、奥三河と呼ばれる愛知県北東部に位置する山間部の町です。

東海地方でも有数の縄文遺跡がある他、愛知の100名山にも選ばれている山々や県内最大級の規模を誇る原生林が残されています。この豊かな自然の中で様々な動植物が生息し、いたるところで日本の原風景に出会うことができます。

歴史が古く、多くの民俗芸能が伝承されている設楽町。
五穀豊穣を願い『田遊び』と呼ばれる農作業を模倣した踊りを演じる、国指定重要無形民俗文化財に指定された「田峯田楽」や、数十種類の舞を中心とした、花のあるお祭り「花祭」が有名ですよね。その名称から花を愛でる祭りと思われるかもしれませんが、実はそうではなく、神楽を通して神仏と共に舞いを楽しみ、無病息災、五穀豊穣、村の繁栄や心身の再生を願うお祭りで、津具を始め、近隣の東栄町や豊根村でも行われています。

また戦国の舞台にもなった設楽町では、かつて合戦が繰り広げられ、復元された「田峯城」や戦死者を弔うために建てられた「田峰観音」など、今でも当時の名残を感じることができます。

そんな奥三河の暮らしとこころを伝える「奥三河郷土館」では、設楽の自然の生きものたち、大地のなりたち、人々の暮らしと社会のはじまり、歴史民俗などテーマごとに見学できます。農家の住居が再現されているゾーンや、膨大な土雛の展示もなかなかの迫力ですよ！
他にも「豊橋鉄道・田口線の木製車両」もぜひご覧になっていただきたいですね。53年前まで実際に走っていた列車で、奥三河の歴史を語るものとして展示されています。列車内に入ることもできるので、当時の面影を感じるノスタルジックな雰囲気が楽しめます。

また多くの特産品があることでも知られる設楽町は、敷地面積の約9割を山林が占める一方で、3つの河川「豊川・矢作川・天竜川」の水源地でもあります。 豊かな森、清らかな水が豊富な高原地域で栽培された品々は、どれも味わい深く絶品です。
食味コンクールで高評価の「天狗米」をはじめ、設楽町でのみ栽培され『幻のトマト』と呼ばれる「ルネッサンストマト」や、ナスの大トロ「奥三河天狗なす」などなど、この土地ならではの恵みがたくさんあります。

設楽町には古くから人々が暮らし、今もなおその歴史が息づいています。決して便利な場所ではありませんが、美しい山並みや清らかな川、様々な生きものなど、生命力で溢れる素敵なまちなのです。