更新日:2024年9月3日
故人が遺していった品物は、「遺品整理」というかたちで片づけなければならない日が来るでしょう。
そして遺品整理を行うときには、処分すべきものではなく「捨ててはいけないもの」が出てくることも少なくありません。
ここでは次のような「遺品整理のときに捨ててはいけないもの」に注目して、解説していきます。
- 捨てた場合に法的な問題に発展するもの
- 捨てることによって手続きが非常に煩雑になるもの
- そもそも故人のものではないので、勝手に捨ててはいけないもの
- 心情の観点から、捨てることには慎重さを要するもの
遺品整理に悩んでいる方や、大変な遺品整理を前にどのように手をつければいいか困っている方にとっても参考になる内容を解説していきますので、最後まで目を通してくださいね。
目次
遺品整理、捨ててはいけないものとその理由~法的に大きな問題になるもの
まず、「捨てると法的に大きな問題になるもの」から紹介していきます。
具体的に以下のようなものについては、遺品整理のなかで捨ててしまうことによって、法的な問題となり大きなトラブルにつながる可能性があります。
- 遺言書
- エンディングノート
- 宝石類や美術品、骨董品など
- 現金やカード、株式、債券など
- 土地の権利書など
ひとつずつ、詳しく解説していきましょう。
1.遺言書
遺言書は、残された品物のなかでも最も重要度が高いものです。
遺言書は故人が遺していく最後の意志であり、これを無視することは許されません。
法的な意味合いも強いものであるため、故人の遺言書を見つけた場合は必ず保管しておきましょう。
また、遺品整理の段階で見つからなかったとしても公証役場に保管されている場合もあるので確認します。
なお、遺言書を故意に破棄した場合は、破棄した人が相続人であっても相続の対象から外されますし、5年以下の懲役が科せられる場合があります。
また同様に、遺言書の偽造も刑罰の対象です。
2.エンディングノート
遺言書がなくても、故人がエンディングノートを準備している可能性があります。
エンディングノートも遺言書と同じく、故人の意思を伝えるためのものとして、配慮すべきでしょう。
「遺言書がなくてもエンディングノートを用意している」というケースもあり、そのような場合は遺言書の代わりとして、非常に重要なものとなりますので、必ずきちんと保管しておきましょう。
もちろん「遺言書もエンディングノートも用意していない」という場合もあります。
3.宝石類や美術品、骨董品など
宝石類や美術品、骨董品などの価値のあるものもまた、「遺産」として扱われます
相続人であってもこれを勝手に処分することは許されておらず、ほかの相続人と話し合いをしなければなりません。
なお、宝石類や美術品、骨董品は、イミテーションかそうではないか、また価値のあるものか価値のないものなのかの見極めが難しいものでもあります。
そのため、自分達で「これは価値がありそう、これは価値がなさそう」などのように判断することは避けて、専門家の鑑定を受けるようにした方が安心です。
「状態が悪いし、きっと売れないだろう」と思っているものであっても、思わぬ価値がつくことはめずらしくありません。
例えば「ピアスなのに片方しかない、宝石の部分も傷がついているから価値がないだろう」と思ったとしても、素材となるプラチナ部分に価値があり、高額買取が叶う…というようなケースもあります。
そのような詳細を判断しながら整理するのは大変ですから後日、改めて査定に出すつもりでひとまとめにしておきましょう。
4.現金やカード、株式、債券など
宝石類や美術品、骨董品と同じように、言わずもがな、現金やカード類も処分してはいけません。
遺産相続人が複数いる場合、誰がどれくらい相続するか決めなければいけない資産となります。
同じように、株式や債券のように今すぐ現金となるわけではないものでも、同様の価値があるものはきちんと保管しておきましょう。
5.土地の権利証など
土地の権利証などの重要な書類も、勝手に処分してはいけません。
土地の権利証は「この人がこの不動産を持っていること」を証明する非常に重要な書類です。
単純に遺産を相続する場合ならばこの土地の権利証がなくても相続自体は完了しますし、「土地の権利証がないから相続できない」「土地の権利証を持っている人が、無条件で土地を相続できる」といったことはありません。
しかし、「一度相続の手続きをしたが、その後に遺産分割協議でほかの人が不動産を受け取ることになった」などのような場合は、この土地の権利証が必要になります。
遺品整理、捨ててはいけないものとその理由~手続きが非常に煩雑になるもの
上記では、「法律面からみて処分してはいけないもの」「処分するとその後の話し合いのときに著しく不自由になるもの」について解説してきました。
ここからは、「処分することが法的な問題にはならなくとも、その後の手続きが非常に煩雑になるため捨ててはいけないもの」について解説していきます。
次のようなものが該当しますので、チェックしてみましょう。
- 通帳と印鑑
- 年金手帳など
- 支払通知書など
- 鍵
- 住居や保険の契約書
- 仕事関係の資料
こちらも、ひとつずつ解説していきます。
1.通帳と印鑑
故人の通帳と印鑑は、捨ててはいけません。
故人のお金の動きを把握するツールであり、葬儀費用をはじめとした故人の死にまつわる費用を支払うときに使えるからです。
ただし、故人の口座は死亡後凍結するため、特別な手続きを経て初めて「葬儀費用のための引き出し」ができるようになる点は覚えておきましょう。
なお、現在はネットバンキングなどを利用してお金を管理している場合もあります。
通帳、印鑑、口座カードなどがなくとも、故人のパソコンやスマホなどに大事な情報が眠っている可能性があるのです。
パスワードなどが分かっているのであれば、相続人全員でネットバンキングの存在の有無を確認するのが理想的です。
印鑑は、保険などの契約関連書類に使った実印、銀行口座開設時の銀行印など、複数の種類があります。
それらすべてが、あらゆる手続きに必要不可欠となる可能性が高いため、必要か不要かを勝手に判断せずに「まずはすべてとっておく」という判断をしましょう。
2.年金手帳など
人が亡くなった場合、その人が受けていた年金・介護保険・健康保険を止める必要があります。
年金手帳やマイナンバーカード、健康保険証などがある場合は大切に保管しておき、手続きの際に持参しましょう。
「いつまでに各種手続き行わなければならないか」については、故人の状況などによってもそれぞれ異なりますが、基本的に死亡後10日以内に手続きを行うのが理想的です。
3.支払通知書など
人が亡くなっても、郵便物の送付がその瞬間にすべてストップされるわけではありません。
そのため、その人が利用していた公共料金の支払い用紙などが届くこともよくあります。
故人の支払いが滞っていたときには、支払い義務が相続人に移ります。
「気づかなかった」「間違えて捨ててしまった」といった理由で支払いをしないままでいると、相続人の責任となってしまうため注意してください。
引き落としになっている支払いは特に見落としやすいので、情報をリスト化しておくこともおすすめです。
また、遺品を整理しているときに、すでに支払いを終えた領収書などが見つかることもあるでしょう。
遺品整理のときに領収書などを見つけたり、郵便物で請求書が届いたりした場合は、都度その送り先に連絡をします。
電話口で「これを利用していた者が亡くなった」と告げれば、その後の手続きの流れなど、どのような対応をすればよいかを送り手側が説明してくれます。
なお、遺品整理に時間がかかる場合は、電気や水道の停止時期はそれを加味して考えるとよいでしょう。
4.鍵
遺品整理をしていると、「実際にはもう使っていない鍵」がたくさん出てくることもあります。
ただし遺品整理の段階で、「この鍵は必要で、この鍵は必要ではない」と完璧により分けることは難しいといえます。そのため鍵を見つけたのなら、一か所にとりあえず集めておき、その後で該当する場所を探すようにするとよいでしょう。
遺言書を片付けていたり、通帳や権利証、現金などを片付けていたりする場所には鍵がかけられていることも多く、早合点して処分してしまうと大事な書類を見つけられなくなってしまう可能性もあります。
鍵の処分をするならすべての最後にするなど、慎重に扱ってください。
5.住居や保険の契約書
住居にまつわる契約、保険関連の契約など故人が締結した契約書類は、どんなものも処分せずきちんと残しておきましょう。
例えば不動産関連の請負契約書や売買契約書を誤って処分したり、失くしたりしてしまうと、故人の契約時の金額がわからなくなってしまいます。
そうすると、売却するときにも損をしてしまったり、スムーズな手続きができなかったりする可能性があります。
また、保険の契約書は、保険金の申請にあたって必要不可欠です。
6.仕事関係の資料
故人が定年退職前の世代、いわゆる働き盛りの世代であった場合には、所属している企業にとって「大切な一員」のまま亡くなってしまうこともあるでしょう。
そのようなケースでは、業務の引継ぎが求められるかもしれません。
故人の仕事にまつわる資料は、遺族が見ても必要か不要か判断しにくいものです。
いずれ企業に返却するつもりで、ひとまとめに保管しておきましょう。
故人が勤めていた企業のデータや資料はもちろん、取引先に関連する資料も混ざっているかもしれません。
その場合、不適切な形で処分してしまうと情報漏洩などのリスクが高まり、故人の勤めていた企業だけでなく他社へも迷惑をかけてしまいます。
もちろん、企業に確認して不要であると言われれば処分して構いません。
また故人が経営者であれば、各種資料は法人手続きに必要となります。
その場合、なおのこと手続きが重要となりますので必ず保管しておきましょう。
遺品整理、捨ててはいけないものとその理由~返却する必要のあるもの
遺品整理をしているときに出てきたもののなかには「そもそも故人に所有権があるわけではない」というものもあるでしょう。
例えば、次のようなものです。
- レンタルショップのCDやDVD
- 図書館の本
- Wi-Fiルーター
- ウォーターサーバー
- 健康保険証やパスポート
- 自動車
上記のようなものが見つかったときには「どこ、誰に返却すれば良いのか」という点も含めて確認しましょう。
1.レンタルショップのCDやDVD
故人がレンタルショップをよく利用する人であった場合、CD、DVD、ブルーレイ、コミックなどが借りたものがそのままになっている可能性があります。
レンタルショップで借りているものは、期限内に返却ができなかった場合には延滞料が発生することも少なくありません。
知らず知らずのうちに、支払わなければいけない金額が膨れ上がっている可能性もあるため、できるだけ早い段階でチェックしておくべきでしょう。
2.図書館の本
図書館の本もレンタルショップで借りているものと同様に、返却期限内に返却する義務があります。
また、CDやDVDなどは、レンタルショップのほかに図書館でもレンタルできます。
そのため「借りてきたと思われるCDやDVDがあるけれど、どこの店舗で借りたかわからない」というものは図書館で借りた可能性を検討しましょう。
3.Wi-Fiルーター
レンタルしているものというと「レンタルショップで借りたもの」をどうしてもイメージしやすいと思いますが、企業からのリース品も該当します。
特に多いのが、Wi-Fiルーターをはじめとした通信環境に関する機器です。
今やインターネット設備はどのような環境でも必要不可欠ですが「解約時には機器を返却する」という約束のプランも存在します。
そのようなプランの場合、きちんと返却されないと違約金の支払いを求められますので注意しましょう。
4.ウォーターサーバー
通信機器のほか、ウォーターサーバーのような設備もリース品を使っていることが少なくありません。
こちらも、使用後にはきちんと返却する必要があります。
本体などに、どこのメーカーのウォーターサーバーなのか記載されているはずなので連絡して返却しましょう。
担当者が回収に来る場合には、状況を説明したうえで、返却の日時をすり合わせましょう。
5.健康保険証やパスポート
レンタルやリースとは少し感覚が異なりますが、健康保険証やパスポートも返納の義務があります。
そのため、故人の身分証明書のなかでも返納しなければいけないものは、きちんと返納してください。
6.自動車
生活に必要な自動車も、所有権が故人にあるとは限りません。
例えば近年増えている「残価設定型クレジット」いわゆる残クレの場合には、通常のカーローンと同じように分割で支払うシステムです。
しかし、残クレの場合には、支払いが完了するまで車の所有権はディーラーにあります。
「故人が自分の車として乗っているのだと思っていた」というような車であっても、本当に所有権が故人にあるか一度確認してみましょう。
遺品整理、捨ててはいけないものとその理由~心情につながるもの
遺品整理は、単純な「物の整理」だけを目的とするものではありません。
故人との思い出を振り返り、故人のことを悼み、故人の思い出を一緒に整理する人と共有するためにするものでもあります。
そのため、「法的・事務的に見た場合は処分してしまってもなんら問題はないが、心情的な観点から。処分する際には慎重にすべきもの」も存在します。
- 写真や勲章
- 思い出のこもった品物
- 手紙やハガキ
- デジタル遺品
上記がその代表例となりますので、詳しく見ていきましょう。
1.写真や勲章
その人が撮った写真や、その人が写った写真は非常に大切なものです。在りし日の姿を偲ぶことができるものであり、特別なものです。
なかでも、「残された人が、その亡くなった人と出会う前の写真」はとても大きな意味を持ちます。
たとえば故人の小さいころの写真や、故人の生家の人との写真などは、一度処分してしまうと取り返しのつかないものです。
特に現在80歳以上の人の場合は、小さいころの写真がほとんど残っていないこともあります。
なおこれらの写真は、もし余裕があり、かつ相手の連絡先が分かるのであれば、後日になってからでも構いませんので、「あなたと一緒に父が写っている写真が見つかりました」などと手紙をつけて、一緒に写っている人に送るのもよいでしょう。
また、人によっては「勲章」を授与されていることもあります。
特に自衛官や警察官などのような公務員を経験していた方であれば、70歳以上を迎えたタイミングでこれを授与される可能性が高いといえます。
勲章はその人が歩んできた道に対して贈られるものであり、とても重要な意味を持ちます。
このような勲章がある場合は、「本当に処分してもよいのかどうか」をよく考えるとよいでしょう。
2.思い出のこもった品物
「故人が最後まで使っていたもの」「故人の思い出がこもった品物」の扱いも、慎重にしなければなりません。
「毎日使っていたバスタオルのうちの1枚」などのようなものは処分しても構いません。
しかしたとえば「故人が大切にしていた万年筆」「故人が、今は亡き故人の実母から受け継いだ裁縫箱」というような、思い出のこもった遺品は、処分する前によく考えた方がよいでしょう。
自分以外の遺族や、親族以外にも故人と関わりがあった人には事前に「ほしいものはないか」「処分する予定だが、持っていきたいものはないか」などを確認することができればより良いといえます。
エンディングノート自体には法的拘束力はありませんが、もしエンディングノートに「これは〇〇さんに渡したい」などのように記されていたのであれば、その人に渡すのが一番です。
なお先ほどお話ししましたが、形見の品物のなかでも、換金性の高い宝石類や高価な食器類は「遺産」として取り扱わなければなりません。
そのためこれらを独断で、自分の物にしたり人に渡したりすることはしてはいけません。
3.手紙やハガキ
故人に宛てられた手紙やハガキ、あるいは故人が書きかけていた手紙やハガキは、当事者がこの世を去った後でも、意味を持ち続けるものです。
ダイレクトメールなどと違い、意味のあるものとして保管しておくべきでしょう。
手紙やハガキは、心情面から見てもなかなか処分しがたいものではありますが、ほかの2つとは異なる性質も持っています。
それが、「手紙やハガキは、故人の訃報を知らせるための手がかりとなりうる」という点です。
たとえば、次のようなケースです。
- 家族ぐるみでお付き合いのあった相手なので、訃報をご自宅へお届けしたい
- 相手が携帯電話を持っておらず、故人の携帯電話に登録はなかったが、長く手紙でやり取りをしていて故人にとって大事な存在であったので知らせたい
- 家族葬で見送ったため、訃報を多くの人に知らせることができず、連絡をしたいが手がかりがない
このような場合、手紙やハガキの住所・名前を確認~その住所に訃報を伝える、といったことができるようになるでしょう。
ケースによっては、「故人は子どもに、『生家との関わりはほとんどない』と言っていたが、実際にはやり取りをしていたようだ」などのように、思いもかけない「訃報を知らせるべき相手の情報」が見つかるかもしれません。
4.デジタル遺品
パソコンやスマートフォンといったデジタル機器に入っているデータを「デジタル遺品」と言います。
例えばカメラで撮影した写真や動画、アプリに登録された情報などです。
そのなかには、故人の視点で撮影された思い出の写真なども含まれているかもしれません。
また、先ほど解説したように、ネットバンキングなどの情報が保管されている可能性もあります。
デジタル遺品は一度消去してしまうと、二度と復旧できなくなってしまうかもしれません。
一度、遺族のパソコンにデータを保存するなど工夫して、うっかり消去してしまうことがないようにしておきましょう。
先ほど「レンタル品、リース品を忘れず返却する」ことが大切だとお伝えしましたが、パソコンについてもレンタル品を利用している場合があります。
その場合、データを確認せずに返却してしまうと二度とデータを復旧できなくなってしまうでしょう。
思い出や大切なデータを失うことがないよう、しっかり確認してください。
遺品整理で「捨ててはいけないもの」を捨てないために
ここまで、「遺品整理のときに捨ててはいけないもの」を紹介してきました。
最後に、「それでは、捨ててはいけないものを捨てないようにするためにはどうしたらいいか」について考えていきましょう。
・生前整理を行う
あなたが、「残していく側の立場(親など)」であり、「残していく家族(子どもなど)に負担を掛けたくない……」と考えているのであれば、生前整理を行いましょう。
生前整理とは、生きているうちにあらかじめいらないものを処分しておくことをいいます。
またたこの際にはエンディングノートを書き、遺言書の有無やそのありか、財産目録とその権利証のありかなどを記しておくとよいでしょう。
形見の品物をだれに渡したいか、自分が死んだときにだれに連絡してほしいかを書いておくことも推奨されます。
特に重要なのは、「遺言書の有無とそのありか」です。
「家族は『遺言書がある』と聞かされていたが、実際には故人がギリギリのタイミングでそれを処分していた。『遺言書がある』と思っていた家族は、その遺言書の探索に四苦八苦した」
というような実例もあります。
残された家族の困惑と混乱を避けるためにも、事前にきちんと整理し、それを書き留めておきましょう。
もし「どのように遺産を分配するかなどの問題について、自分の希望は特にないから、遺族で決めてほしい」というような場合には「遺言書を書くまでもない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、故人の希望がないということを一筆書いておくことも非常に重要です。
遺言書を仰々しく感じてしまうのなら、エンディングノートという形で簡単に記載しておくだけでも構いません。
・遺言書・エンディングノートの内容を確認する
自分が遺族という立場で遺品整理をするときに大切になるのが「故人の意志をきちんと尊重すること」です。
まずは遺言書・エンディングノートの内容を確認し、故人が遺品についてどのように取り扱ってほしいと考えているのか確かめましょう。
もし「形見のダイヤの指輪は〇〇に渡したい」というように、具体的な意志が表明されているのであれば、その内容に従って遺産を分配します。
遺言書やエンディングノートに記載されているのにもかかわらず、対象となる遺品を誤って捨ててしまった…というようなことになれば、大きなトラブルにもつながりかねません。
遺品整理だけでなく、葬儀のやり方などについても遺言書・エンディングノートに故人の希望が書かれていることがありますので、内容はまっさきに確認しましょう。
また、遺品整理を複数人でする場合には、遺言書・エンディングノートの内容を共有しておくことも大切です。
・「捨てないもの」、「わからないもの」などに一旦分ける
遺品整理をしてると、どのように扱えばいいのかとっさの判断が難しい細々としたものもたくさん出てくるでしょう。
それらをひとつずつ、その都度判断して「貴重品」、「買取に出す宝飾品」、「〇〇に返却するもの」というように分けていくと、大変に思えてしまうかもしれません。
まずは大きめの段ボール箱を用意し「捨てないもの」としてまとめて入れておきましょう。
「捨てないという判断をするのも難しい」という場合には、さらにもうひと箱「わからないもの」を入れる箱も用意して、とりあえずそこに入れていく…というルールにするのもおすすめです。
「細かな分類分けはのちほどゆっくり行えばいい」という気持ちの余裕によって、「捨ててはいけないものを処分してしまった」というミスも防ぎやすくなりますよ。
大きな荷物が多いのであれば「捨てないものはいったん和室に入れておく」など、場所で区切るのもいいかもしれません。
・複数人で片づけて、互いに確認を取る
遺品のなかには、いわゆる「遺産」に該当する「高い換金性を持つもの」があります。
誰かひとりが片付けたり、処分したりするとなれば、その人がひとりじめしてしまう可能性もゼロではありません。
そのため複数人で遺品整理にかかることが推奨されます。
複数人で行えば互いに「これはいるかな、いらないかな?」「私はいらないけど、あなたはどうする?」などの確認ができます。
また、「故人が大切にしていたルビーの指輪がないが、遺品整理を受け持っていた兄が持って行ってしまったのではないか」などのような疑念が沸く余地もつぶすことができます。
加えて、複数人で片づけをすることで、故人の思い出話に花を咲かせたり、片方が知らない故人のエピソードを聞いたりする機会も増えるというメリットがあります。
・捨ててはいけないものリストを作成する
複数人で遺品整理を行うときは特に、捨ててはいけないものをリストアップして共有することをおすすめします。
ここまでご紹介してきたように、捨ててはいけないものはたくさんあり、ジャンルもさまざまです。
複数人で遺品整理をしていると、伝達ミスなども起きやすくなります。
「捨ててほしくなかったものを、自分がいないタイミングで捨てられてしまった」というトラブルも起こる可能性があるため、事前にリストを作成しておきましょう。
リストは印刷して紙で共有するのはもちろん、データでも共有しておくことでそれぞれにスマホで確認しながら作業を進められるので、作業効率化にもつながりますよ。
・プロの整理業者に依頼する
「遺品整理をしたいが、最後まで一軒家でひとり暮らしをしていたため、残された物の量が膨大である」
「きれいに片づけられた部屋とは言い難く、物が散乱している」
「子どもたち全員が遠方に住んでいて、片付けに行くのが難しい」
このような理由によってスムーズな遺品整理が難しい場合は、プロの整理業者に依頼するのもひとつの手です。
プロの整理業者は、「明らかなゴミ」「処分するのが妥当なもの」「残しておくべきもの」などを、お客様のご意向を聞いたうえで分けて、きれいに整理~処分を行います。
人手や時間が足りない場合も、プロの業者に頼めばすっきり片付きます。
なお遺品の整理を依頼する業者としては、必ず、「一般廃棄物収集運搬許可を持っているあるいはそのような企業と提携している業者」を選んでください。
また、「遺品のなかで、売れるものがあれば売りたい」という場合は、古物商の許可を持っている業者を選ぶ必要があります。
このような業者であれば、遺品整理と不要品の買取を一度に依頼できるため「ただ捨てるだけじゃなく、売上金をもらえる」という点が大きなメリットです。
ただし、古物商の資格を持っていない業者に依頼してしまうと、最新相場を踏まえず取引が行われるなど、大切な遺品を不適切に取り扱われてしまう可能性があります。
遺品整理の専門業者へ依頼を検討しているのなら、ラクタスへお聞かせください。
多くの実績とノウハウを保有するラクタスでは、遺品を不適切に扱われてしまうリスクも回避し、スピーディな対応を叶えます。
遺品整理、片付け、遺品の分類わけなど……「どうしたらいいの?」と思ってしまうことは、小さなお悩みでもまずはお気軽にご相談ください。
本記事の監修者
鍋谷萌子(ライター)
終活カウンセラーの資格を持つ、元葬儀会社勤務のライターです。自分自身が「遺された家」の片付けを行った経験も元に、分かりやすく、正しいデータを紹介しながら、ゴミ屋敷の問題や空き家のトラブル、遺品整理・生前整理についての解説を行っていきます。