更新日:2023年10月11日
管理しているマンションやアパートが、実はごみ屋敷になっていたと突然分かったら、今後の経営が心配になってしまいますよね。手の施しようがないほどのごみだらけの部屋を放置することは大家にとってデメリットでしかありません。
この記事では、賃貸物件がごみ屋敷になる背景やリスク、ごみ屋敷の入居者に対する対応を紹介します。また、ごみ屋敷トラブルを未然に防ぐ方法も解説しますので、参考にしていただければ幸いです。
目次
賃貸物件のごみ屋敷になる背景
2023年3月に環境省が発表した、ごみ屋敷に関する報告書によると、全国1,741の自治体のうち、ごみ屋敷を認知している割合は全体の38%(661市町村)だとわかりました。
都道府県別の認知しているごみ屋敷の件数は、下記の順で多いです。
- 東京都:880件
- 愛知県:538件
- 千葉県:341件
自治体では把握していない「隠れごみ屋敷」の存在
全国各地のごみ屋敷は、自治体が把握しているものだけで5,224件となりますが、マンションやアパートのごみ屋敷は明るみに出ていないかもしれません。
各自治体ではごみ屋敷の定義を規定しているところもあり、その多くが周辺住民への悪影響についての説明があります。
一人暮らしの方が住む賃貸物件では、隣の人との関わりがほとんどなく、家の外にごみが出ていなければ、ごみ屋敷に気付かれにくいことがほとんどです。
そのため、周囲が少し異変を感じた時には、部屋の中はごみで埋め尽くされている可能性もあります。
集合住宅に住む若い年代がごみ屋敷を作る原因
コロナ禍を経て、20~30代の人を中心にごみ屋敷が増えているといいます。
- 病気療養で自宅隔離により、ごみが溜まる
- 在宅勤務で生活ごみが増える
- 夜勤シフトや不規則な生活で、ごみ出しが難しい
- コンビニやフードデリバリーの利用
ごみ屋敷は、ストレスや精神疾患と深く関係しており、毎日真面目に働いている人が片付けられないこともあります。
また、他の人に頼るのが苦手・完璧主義の考えから片付けを先延ばしにするケースも少なくありません。
入居前に「しっかりした人」という印象を受けたとしても、ごみ屋敷化は誰にでも起こりうることなので、簡単に見抜くことは難しいでしょう。
賃貸のお部屋がごみ屋敷に!放置するリスク
自分が管理している物件に、ごみ屋敷のお部屋が見つかったら、あまりに悲惨な光景に思わず現実逃避したくなるかもしれません。
しかし大家さんが迅速に対処することで、さまざまなリスクを回避できます。
ここでは、賃貸物件のごみ屋敷のリスクを4つ紹介します。
火災(トラッキング現象や放火等)
ごみ屋敷は、火災を招く危険性が非常に高く、主な要因は4つあります。
- トラッキング現象
- タバコの不始末
- 放火
- ネズミ
トラッキング現象とは、コンセントに差したプラグにほこりが溜まることで出火することです。東京消防庁によると、令和3年の管内の火災のうち39件はトラッキング現象が原因だったことが分かりました。ごみ屋敷になると、部屋の隅々の清掃が出来ず、コンセントの周囲にもほこりが溜まりやすいため、非常に危険です。
その他、タバコの火がごみに燃え移ることによる火災も大いに考えられます。
また、玄関外にまで、ごみを置くことで、ネズミが寄ってきたり、放火のターゲットにされたりする可能性もあるでしょう。
悪臭(生ごみの腐敗やカビ等)
ごみ屋敷になるとさまざまな悪臭が発生します。
- 生ごみの腐敗臭
- カビ
- 排泄物(糞尿)
- タバコのヤニ
- ペット臭
特に食べ残しのごみが多いと、生ごみが腐敗して、鼻につまみたくなる程のアンモニア臭を放ちます。
また、ごみが増えることでトイレが使えなくなり、部屋で用を足す人も。
ごみが邪魔をして窓を開けられないと、湿気が高くなりカビも繁殖します。
こうした臭いは、排水口や換気扇、玄関から周囲に漏れ出て、近隣住民からの苦情トラブルに繋がるのです。
害虫・害獣(ゴキブリやハエ、ネズミ等)
ごみ屋敷の悪臭に引き寄せられるかのように大量発生するのがゴキブリやハエなどの害虫やネズミです。
カップラーメンやコンビニ弁当の食べ残し、飲みかけのペットボトルが放置されていれば、害虫の好むエサとなります。
ワンルームであっても、300袋分に及ぶごみを溜めている部屋の中には、ゴキブリが数千匹発生することも…。
入居者も到底太刀打ちできず、夜逃げされる可能性もあります。
資産価値が下がる恐れ
悪臭や害虫で近隣にごみ屋敷の部屋があることが知れ渡ると、悪い噂が広まって資産価値が下がる恐れがあります。
通路部分に明らかなごみ袋が放置されていると、他の住人が引っ越してしまう可能性もあり、家賃収入が大幅に下がるかもしれません。
周囲に気付かれていなくても、ごみ屋敷は部屋や建物自体にダメージを与えるため、元通りの部屋にするまでは必然的に空き家の状態が続きます。
安定した賃貸経営を維持するためには、ごみ問題に速やかに対応することが必要です。
ごみ屋敷が発覚した時の大家さんの適切な対処法
管理している賃貸のお部屋がごみ屋敷だった時、近隣に悪影響を及ぼさないためにも、適切な対応が求められます。
具体的に何をすれば良いのか詳しく解説していきます。
ごみ屋敷の住人に連絡する
まずは、入居者へごみ撤去のお願いをするために、メールや電話で連絡をしましょう。
何度か片付けを促して、実際に部屋を尋ねることも必要です。
すぐに対応してくれなくても、留守電にメッセージを残すなどアプローチの方法を変えてみてください。
直接関わることができれば、ごみ屋敷を作った住人の複雑な事情も分かるかもしれません。
行政に相談する(保健所・警察・消防署)
入居者がなかなか対応してくれない場合は、行政に相談して各方面から注意喚起することも大切です。主な窓口は下記の3か所になります。
- 保健所:害虫・害獣の発生しているとき
- 警察:動物愛護法・道路交通法に違反しているとき
- 消防署:火災のリスクがあるとき
保健所は、地域住民の健康を守る役割を担い、環境衛生問題や感染症に対応してくれます。
警察は、法律に抵触しない限り動いてくれない可能性が高いです。
しかし、ごみ屋敷でペットを飼育していたり、道路にごみを放置している状況なら、大家さんの代わりに注意してくれるかもしれません。
また、消防署では、火災予防のために一人暮らしの高齢者など地域住民の自宅を訪問し、安全確認や注意喚起をしています。ごみ屋敷に関して前もって相談しておくことで、入居者に呼びかけをしてくれる可能性があります。
自治体のごみ屋敷条例に沿って、通報・相談する
2023年3月の環境省の調べでは、全国101市町村でごみ屋敷に関する条例が制定されており、下記のような対応をとっています。
- 通報を受けて、現地の調査
- ごみ撤去の助言・指導
- 撤去作業の支援
- 改善の命令
- 強制代執行、罰金
条例は各自治体で対応策が異なるため、まずは相談してみましょう。
地域の景観を損なう明らかなごみ屋敷であれば、すぐに対応してくれるかもしれません。
愛知県名古屋市のごみ屋敷条例
愛知県名古屋市のごみ屋敷条例の概要をまとめました。
◎ごみ屋敷の定義 ◎罰則 |
基本的に住人が自らごみ撤去をすることを原則としていますが、必要に応じて不用品回収業者の紹介などサポートを得られることもあるようです。
まずは、環境局事業部作業課にごみ屋敷について相談しましょう。
内容証明郵便の送付
ごみの片付け・処分に全く応じてくれない場合は、入居者に退去勧告を通達することも可能です。
契約途中の解除は、入居者と裁判沙汰になった時でも効力がある「内容照明郵便」を利用してください。
内容証明郵便は、相手の受け取った日付や通知書の内容を証明できるもので、差出郵便局で謄本を保管します。
24時間受付している電子内容証明なら手間も少ないです。
参照:日本郵便株式会社│内容証明
文書には下記を簡潔に記載しましょう。
- ごみの撤去を依頼
- 撤去までの期日
- 期日を過ぎた場合の対応について(賃貸契約を解除、ごみ処分)
返事がすぐに来なくても期日までに複数回、通知すると効果が期待できます。
それでもなお、対応してもらえない時は弁護士に相談することも検討してください。
ごみ屋敷の住人を強制退去させることは可能?
管理しているお部屋をごみ屋敷にされたら、大家さんの心情としては、一刻も早く部屋をキレイにしたいと思うのが当然です。
しかし、現実的にすぐに退去してもらうことは難しく、各行政に相談して本人の行動を促すしか方法はありません。
ごみ屋敷に住み続ける危険性や周囲の被害状況を伝え、「片付けたい」「現状から抜け出したい」という気持ちを引き出すまでには、労力と時間を要します。
再三の申し入れの拒否や、悪臭・害虫等で近隣住民に悪影響を及ぼしている期間が年単位に及ぶ場合は、退去させることができる場合もあるようです。
居住者のごみは勝手に捨ててはいけない
玄関の外にまでごみや私物が置かれていた場合、良かれと思って捨てたくなるかもしれません。
共有部分の清掃や整理整頓は大家さんの業務の一つですが、居住者の持ち物を勝手に処分することは違反行為になる可能性があります。
他人から見たら「ごみ」に見えても、ごみ屋敷の住人にとっては自分の持ち物と主張するケースも少なくありません。
「財産を勝手に捨てられた!」となれば、更なるトラブルに発展しかねないため、時間をかけて慎重に対応する必要があります。
ごみ屋敷は「善管注意義務」違反に該当する
ごみ屋敷に関する法律や国の規制は、残念ながら現時点でありません。
しかし、アパートやマンションを借りる人には民法で定められている「善管注意義務」が課せられています。
◎善管注意義務(善良なる管理者の注意義務) 一般的に求められる範囲で注意義務をもって特定物を保存すること |
善管注意義務は賃貸借契約書に記載があり、ごみ屋敷となった際は明らかな違反行為と判断される可能性が高いです。
注意を怠った場合、損害賠償を請求することは可能ですが、スムーズな解決方法とはいえないでしょう。
ごみ屋敷の原状回復工事の費用は入居者に請求できる?
賃貸アパート・マンションがごみ屋敷になると高額な修繕費用がかかります。
国交省ガイドラインによると、入居者には賃貸物件の原状回復義務が生じますが、経年劣化や通常使用の範囲なら貸借人の負担とはなりません。
◎原状回復義務 賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること 引用:国土交通省│原状回復をめぐるトラブルとガイドライン |
上記の定義から、ごみ屋敷にしてしまった入居者には、一部費用を負担してもらうことが可能です。
具体的には下記のようなケースは、通常の使用を超えるものに該当します。
- 日常清掃を怠ったための油汚れ、水垢、カビ
- 不適切な手入れによる設備の毀損
- 結露を放置したことによるカビ・シミ
- 水漏れ等でできた壁の腐食
- タバコのヤニや臭い、クロスの変色
- ペットの臭い
- 戸建て賃貸の庭に生い茂った雑草
入居者(貸借人)の負担となる範囲
大家側と入居者の原状回復費用の分担については、建物や設備の経過年数も考慮しなければなりません。家具備え付けの物件であれば、特に注意した方が良いでしょう。
主な設備の耐用年数は下記の通りです。
- 耐用年数5年:流し台
- 耐用年数6年:エアコン、冷蔵庫、ガスレンジ
- 耐用年数8年:書棚、タンス、戸棚
- 耐用年数15年:便器、洗面台など給排水・衛生設備
- 建物の耐用年数が適応:ユニットバス、浴槽
一般的に、鉄筋コンクリート造のマンションなら47年、木造アパートは20年となっています。
ごみ屋敷の部屋も同様に、耐用年数と入居年数に応じて残存価値を算出し、費用の負担割合を決定します。
全ての費用を賃借人(入居者)が負担するわけではないことを知っておきましょう。
賃貸のごみ屋敷化を防ぐために大家さんができる対応
管理している賃貸のお部屋をごみ屋敷にしないために、入居前・入居中にできることを紹介します。
ごみに関する特約を規定する
入居審査時の段階で、ごみに関する特別なルールを設けておくと、ごみ屋敷化を防止することができます。
賃貸借契約書に、特約条項としてごみ捨てやごみ屋敷になったときの対応に関するルールを明記することが重要です。
- 善管注意義務違反があったときの費用の負担について
- ペットの飼育の可否について
- 喫煙の可否について
- ごみ出しや共用部分の使用方法について
特に費用については、契約前にしっかりと説明の上、納得してもらうことが必要です。トラブルに発展しないよう、原状回復費用を一部負担してもらう旨を記載しましょう。
張り紙で注意喚起する
入居中は、掲示板やエレベーターなど目につくところに、警告文を掲示することでごみ屋敷化を抑止できます。
ごみ屋敷にしてしまった入居者は、意外にも普通に暮らしていたり、近隣に迷惑をかけている自覚がなかったりすることが多いです。
- ごみや私物の撤去・処分が必要な理由
- 撤去や処分までの期日
- 未対応だった時の措置
注意喚起を繰り返し行うことで、事態の深刻化を未然に防ぐことに繋がります。
定期的な点検作業
月に1度は現地に行って、状況を確認することもごみ屋敷化を予防できます。
ごみ出しのルールが守られていなければ直接声をかけることも時には必要でしょう。
火災報知器の点検等でお部屋に業者が入るタイミングで、同行する旨を事前に伝えるという方法もあります。
また、郵便受けにチラシが溜まっていないかチェックしたり、共用部分の廊下に私物が置かれていないか清掃時に確認したりすると良いでしょう。
日常清掃を徹底していれば、入居者とのコミュニケーションも円滑にとりやすいです。
万が一に備えて家賃補償保険に加入する
隠れごみ屋敷が見つかった時や、入居者が夜逃げしてしまった時に備えて、大家さんのための賃貸住宅の保険「家賃補償保険」に加入することも検討しましょう。
家賃補償保険とは、万が一の事故(火災や自然災害、孤独死など)で損失があったときに一定期間の家賃収入を補償してくれるものです。
ごみ屋敷の損害は、汚損に該当する可能性が高く、事故として補償が下りるのか契約前に確認しておくと安心です。
一般的な火災保険や賃貸住宅保険(借家人賠償責任保険)は、ごみ屋敷のようなケースに適用されないことも多いため、細かい条件を確認する必要があります。
一刻も早く原状回復するためにはごみ屋敷専門業者に相談を
ごみ屋敷専門業者は、主に以下の作業で賃貸物件の原状回復を行います。
- 不用品の搬出・処分
- 畳・フローリング、壁の張り替え
- トイレや浴槽の設備交換
- エアコンクリーニング
- 襖や柱の修繕工事
- 害虫駆除
- 除菌・消臭作業
一人暮らし(1R〜2DK)のごみ屋敷を元通りにするためには、早くて1日、汚れや損傷が激しい場合は数日を要します。
ごみ屋敷の専門業者なら、複数人のスタッフと協力して作業し、スムーズなごみの撤去と同時進行で、徹底した害虫駆除を行うことが可能です。
また、水回りの清掃・部品交換や、特殊な薬剤を噴霧して嫌な臭いを完全に無くします。
ごみの量や設備の修繕工事の詳しい費用は、見積もりで確認しましょう。
まとめ:管理している物件のごみ屋敷清掃は「ラクタス」におまかせください!
- 賃貸物件がごみ屋敷になっていた
- 玄関外にごみを置きっぱなしで困っている
- 退去後の原状回復費用が心配・・
このようなお悩みを持った大家さんは、愛知県名古屋市に拠点を持つごみ屋敷専門業者「ラクタス」におまかせください!
ラクタスは、エリア内最速スピードで、ごみ屋敷の清掃に対応可能です。ごみ屋敷清掃に12年以上の実績を持ち、害虫駆除や消臭作業・ハウスクリーニングで頑固な汚れをキレイにします。
- 相場よりもリーズナブルな業者価格でのお見積り
- 周囲に知られないように配慮した作業で安心
- 臭いの原因を特定し、特殊技術で消臭
次の入居者様が無事に決まるように、近隣住民に配慮しながらお部屋のリセットを行います。まずはお電話やメールでご相談ください!