更新日:2024年2月21日
「ミニマリストに憧れるけど、本当にメリットばかりなの?」
そんな風に思われる方も多いのではないでしょうか。
ミニマリストという言葉が当たり前のように使われるようになった近年ですが、それでも「暮らし続けるとデメリットもあるのでは?」と考え、一歩を踏み出せない方もいるようです。
結論から言うと、ミニマリストにはデメリットよりもメリットのほうがたくさんあります。
しかし、価値観は人によって違うため、見る方向によってはマイナスな面も存在します。
それでもメリットのほうが大きいため、興味のある方や迷っている方は試してみる価値が十分あると言えるでしょう。
今回はミニマリストについて、メリット・デメリットや、ミニマリストになるための片付け法などをご紹介していきます。
ミニマリストについて理解を深め、ライフスタイルの参考にしてみてください。
目次
そもそも「ミニマリスト」とは?
ミニマリストという言葉が流行して数年、なんとなく意味はわかっているけど、詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。
ミニマリストと聞くと「持ちモノが少ない人」「シンプルに暮らす人」というワードが出てくると思います。
しかし、ミニマリストには「モノが少ない」などの表面的な部分だけではなくマインドを指すこともあり、人生観とも言えるでしょう。
ミニマリストは「最小限のモノで生活する人」
ミニマリスト(minimalist)とは、「minimal(最小の)」から派生した言葉で、『本当に大切なもの以外を削り、自分が大事にしていることに全精力を注げる人』のことを言います。
持ち物を必要最低限にすることで、モノを管理していた時間や購入するお金を節約し生活が豊かになるとされており、そのようなライフスタイルを送っている人がミニマリストと呼ばれています。
「ミニマリスト」と「断捨離」は別物?
ミニマリストと同様に流行した言葉として「断捨離」というものがあります。
断捨離とは
入ってくる不要な物を断つ、不要な物を捨てる、物への執着から離れるの三つの原則をもとに、物を整理するだけでなく、暮らしや人生を整えていくプロセス
※2009 年(平成 21)に発売されたやましたひでこの著書で提唱された概念
つまり、断捨離は「モノを減らすための方法論」のことを表しており、「生き方・ライフスタイルまたそれを実践する人」であるミニマリストとは別のものになります。
ミニマリストが人生観と言われるワケは
ミニマリストはただモノを減らして生活しているという意味ではありません。
その理由として「ミニマリズム」という考えが重要になりますが、ミニマリズムとは「minimal(最小限)+ ism(主義)」を組み合わせた造語のこと。
2009年にアメリカで登場した元祖ミニマリストである二人組の男性「The Minimalists」は、ミニマリズムについてこのように語っています。
ミニマリズムとは人生に不必要な物を切り捨てて、本当に重要なことに集中する為のツール
実践することで幸福感、満足感、自由を見つけることができます
「The Minimalists」のひとり、ライアンは年収をあげることが「豊か」だと考え、30歳で年収1,000万円を超えるようになりましたが、豊かさからはどんどん遠ざかっていました。
役職が上がることでストレスが増え、それを埋めるかのようにたくさんモノを買う日々。そしてそのモノを維持するためにまた働く…といった悪循環になっていたとのこと。
そんな中「ミニマリズム」を知り、全ての所有物を梱包して、使うものだけ取り出し、3週間後に使わなかったものは捨てると決めたライアン。
すると、80%のものが3週間使われることがなく、それらを処分するとライアンは人生が「豊か」と思えるようになり始めたと言います。
要するに、「最小限のものだけを持って暮らすことで、人生で自分に必要なものが見えてくる」ということではないでしょうか。
モノに頼り、モノで幸福感を満たすのではなく、今ある幸せを見つめ直そうという考え方がミニマリストの人生観とも言えるでしょう。
ミニマリストのメリットとは?
ミニマリストが流行し出した2015年頃からミニマリストの数は増えていると言われています。
なぜ、こんなにもミニマリストが注目され続けているのか、それはやはり「メリット」が多いからではないでしょうか。
ここではいくつかメリットをご紹介します。
- お金・時間・労力を節約できる
- モノを失くすことや探しモノが減る
- 生活にゆとりが生まれる
- モノへの執着が減る
- 人と比べなくなる
- 急な引っ越しや転勤にも対応できる
- イライラしなくなる
- 掃除がしやすくなる
1.お金・時間・労力を節約できる
モノを買うということは「お金」が必要になるため、買わない選択をすることで「お金の節約」になります。
当然、買い物の時間や労力の節約にもなり、モノを増やさないことは生活内でも時間や労力の節約になっています。
例えば洋服を買うと収納するための家具、ハンガーなどが必要になります。
持ち物が増えるとさらに収納のためのスペースが多く必要になり、片付けたり、掃除をしたり、探し物をしたりとモノを管理する時間も必要に。
モノを持たないということは管理するモノが減り、時間や労力の節約にもなるのです。
2.モノを失くすことや探しモノが減る
日本人はモノを大事にする傾向にあり、持ち物が多いと言われています。
文具メーカーのコクヨの2022年1月の調査によると、人が一日のうち「探し物」に充てている時間は平均13.5分、 年間に換算すると54時間もあることがわかりました。
これはあくまで平均なので、家の中にモノが多い人はもっと探し物に費やしている時間が長いかもしれません。
管理するモノが減ればどこに何があるかも把握しやすく、モノを探す時間や手間を省くことができますし、モノを失くすことも減るでしょう。
3.生活にゆとりが生まれる
モノを購入するためのお金、モノを管理する時間や労力を減らすことで、別のモノにお金や時間、労力をかけることができます。
例えば趣味の時間や自分磨き、投資などです。
自分のやりたいことができることで心にも余裕が生まれ、生活の豊かさにも繋がるでしょう。
4.モノへの執着が減る
執着とは「 一つのことに心をとらわれて、そこから離れられないこと 」を言います。
例えば洋服を捨てようとすると「捨てたら後悔するかも」「思い出がたくさん詰まっているし…」などと悶々と考えてしまう経験はありませんか?
その考える行為が執着心であり、モノを失うことに対する恐怖心とも言えるかもしれません。
捨てるという行為に対してのマイナス面が思い浮かび、なかなか手放せずにいるとモノは増えていく一方です。
ミニマリストは必要最低限のモノしか持たないため、そもそも「捨てなくてはならないモノ」があまり家にありません。
するとモノを捨てるかどうかを考える時間が減り、モノへの執着も少なくなるでしょう。
5.人と比べなくなる
モノが溢れる生活をしていると、人を比べてしまう…ということはありませんか?
例えば
- みんなが持っている物が欲しくなる
- 流行りのモノを持っている友人が羨ましい
- 自分の持ち物が周りにどう思われるか気になる
など。
これでは自分の意思と関係なく、周囲を気にしてモノを買っていると言えるかもしれません。
しかしミニマリストになると「自分に必要かどうか」を基準にモノを選ぶようになるため、他人の意見に惑わされず、選択ができるようになります。
他人の価値観に左右されないということは、自分の考えをしっかり持てるようになり、自己肯定感が上がることにも繋がります。
6.急な引っ越しや転勤にも対応できる
ミニマリストは持ち物が少ないため、場所の移動がしやすいというメリットがあります。
引っ越しの際は梱包などの作業が少なくて済みますし、引っ越し業者へ依頼する際の費用も安く済ませることができます。
また、移動が楽だと考えることで転勤に前向きになれるという話もあり、仕事や方向転換にも柔軟に対応できるようになるでしょう。
7.イライラしなくなる
モノが多い部屋は人をイライラさせる、ということを聞いたことはありませんか?
実は物が多い部屋は常に脳を刺激し続けており、知らず知らずに疲れやストレスを溜めてしまっています。
そのせいでイライラしたり、集中力が低下したりと感情や生活が不安定になってしまうでしょう。
また、部屋が散らかっていると「片付けなきゃ」と焦る気持ちや片付けられない自分への苛立ちや罪悪感が生まれることも。
部屋にモノが少ないことでスッキリした気持ちになり、心も安定すると言われています。
リラックスして過ごせることで仕事や勉強に集中できたり、家事をスムーズにこなせたりと物事が順調に進むようになりますよ。
8.掃除がしやすくなる
モノが少なければ管理がしやすいとお伝えしてきましたが、これは当然掃除にも言えることです。
家にあるものは「しまう」つまり収納することで部屋が片付きますが、モノが多ければ収納が上手にできず、溢れたモノが床や机の上に出しっぱなしになることもあります。
モノが少なければ収納スペースも少しで十分ですし、出しっぱなしになる回数も減るでしょう。
床や机などにモノがないことで掃除もスムーズにできるのでいいこと尽くしです。
ミニマリストにもデメリットがある?
ミニマリストにはメリットがたくさんありますが、デメリットも気になる!という方も多いのでは。
ここでは実際にミニマリストの方々の意見で多かった、デメリットについてご紹介していきます。
- 必要なものも捨ててしまい、不便になる
- 来客時にモノが足りないことがある
- モノが買いづらい、簡単に買えなくなった
- 友人と一緒に買い物に行けない
- 家族のモノを捨ててトラブルになる
1.必要なものも捨ててしまい、不便になる
これはミニマリスト「初心者あるある」と言えるかもしれません。
ミニマリストを目指し、勢いでモノを捨ててしまったために、後の生活で不便を感じてしまうというもの。
例えば布団だけを残し、ベッドを捨てたもののやはり寝心地が悪くベッドを買い直したというケースや、調理器具は圧力鍋だけでいいと決め、ほかのものは処分してしまったけど慣れずに炊飯器を買ったというケースなど…。
ミニマリストの生活は「モノが少ない暮らし」ではありますが、過度にモノを捨ててしまい、生活が不便になってしまっては意味がありません。
また、後で購入し直すとなると余計に出費もかかってしまいます。
自分にとって必要なものは無理に手放さなくてもいい、ということを覚えておきましょう。
2.来客時にモノが足りないことがある
ミニマリストは最低限のモノの量で暮らしていることもあって、来客時にモノが足りない、おもてなしがしにくいといった話をよく聞きます。
よくある例が「食器」で、普段は自分が使う分だけ、家族が使う分だけを用意しているために来客分の食器が足りないというわけです。
また、家にモノがないため時間を持て余してしまうことや、来客によっては殺風景で落ち着かないといった意見も。
しかし、自分の家なので自分が満足するのであればミニマリストをやめる必要はありません。
ただし、家に来客が多い方やおおてなしが好きな方は、来客用の食器やグッズなどを用意しておくとよいでしょう。
3.モノが買いづらい、簡単に買えなくなった
ミニマリストになると何かを購入するときに慎重になってしまい、なかなかモノが買えなくなる、ということがあります。
家にモノを増やしたくない、と言う気持ちが強くなってしまい、考え過ぎて行動に移せなくなっていくというわけです。
これはモノを減らすときに「必要か・不要か」を考えるのと一緒で、それが購入前になっただけのこと。
このような「選択」の経験を積んでいくことで、本当に自分に必要なものが何なのかを見極めることができるようになります。
段々と自分にとっての「合う・合わない」がわかるようになるというわけです。
モノが買いづらい、すぐに買えないということはデメリットに見えますが、無駄遣いが減るというメリットの一面でもあり、慣れていくことで自分に必要な物だけを買うことができるようになります。
4.友人と一緒に買い物に行けない
先ほどの「モノが買いづらい」ということから、友人と一緒に買い物に行けなくなるというケースもあります。
特に女性同士だと友人と一緒に買い物へ出かけるということも多いですが、ミニマリストになると本当に必要な物しか買わなくなるので、買い物目的でブラブラと歩くということを嫌がる人もいます。
確かに、ミニマリストになると目的を持って買い物へいくようになるため、友人と何となく買い物へ行くというのを避けるようになることがあるかもしれません。
もし、友人が買い物に付き合ってほしいと言われたら、自分は買わないことを伝えたり、買い物以外のことに変更したりと臨機応変に対応できるようになるといいですね。
5.家族のモノを捨ててトラブルになる
家族と一緒に住んでいた場合、家族の持ち物まで勝手に捨ててしまうとトラブルになることもあります。
例えば夫や妻のモノも減らしてしまう、子どもの持ち物を処分するなどで喧嘩になることや、捨ててしまった物を買い直したというケースがよくあります。
ミニマリストになると、家の中にモノが多いことや少しでも散らかっているとイライラしてしまう人も多いですが、家族みんなが気持ちよく過ごせる家づくりが基本。
ミニマリストになるためには家族の理解や協力も大事です。
どうしても家族の持ち物が気になる場合、専用の片付けBOXを使ってすぐに片付けができるようにする、蓋をして普段は見えないようにするなどの工夫をしましょう。
ミニマリストの有名人
ここまで読んでみて、「実際のミニマリストの人ってどんな人なの?」と思った方に、ミニマリストである有名人をご紹介します。
1.スティーブ・ジョブズ
有名なミニマリストと言えばこの人、アップル共同設立者のスティーブ・ジョブズです。
いつも黒のタートルネックにジーンズ、靴はスニーカーという同じスタイルだったことも知られていますが、その理由は「何を着るのかを考える時間がもったいないから」ということでした。
服選びのような小さな決断でも、脳の負担になって判断力が落ちると考えていたそうです。
無駄なことは徹底的に省き、仕事やほかの事にエネルギーを注げるようにした究極のミニマリストと言えるでしょう。
2.マック・ザッカーバーグ
FacebookのCEO、マックザッカーバーグもミニマリストとして知られています。
彼はグレーのTシャツだけを約20枚持っていると言い、Facebookの公開Q&Aセッションにて「なぜあなたは毎日同じシャツを着るのか?」という質問をされています。
その返答は「何を食べるか、何を着るかなどのたとえ小さな決断でも、繰り返し行っているとエネルギーを消費してしまう。日々の生活の小さな物事にエネルギーを注いでしまうと、僕は自分の仕事をしていないように感じてしまうんだ」とのこと。
このように仕事へエネルギーを注ぐために、小さな決断を排除することはスティーブジョブスの考えと共通しています。ちなみに、オバマ大統領も同じような発言をしており、常にグレーか青色のスーツを着用しているそうです。
3.ローランド
日本で有名なミニマリストといえば、この方かもしれません。
YouTubeの「自宅公開ルームツアー」は517万回という驚きの再生回数です。
自分の本当に気に入ったものだけを持ち、ジム用の服やバック、仕事着などは「全アイテム本当に1個だけ」とのこと。
部屋はまるで美術館のように生活感のない、キレイな部屋となっています。
ここまで物を減らすというのは一般的には真似しにくいかもしれませんが、見てみる価値はあると思います。
ミニマリストになるための3ステップ
ここからはミニマリストになるために実践したいことを、3ステップに分けてお伝えしていきます。
ステップ1.明らかに不要なモノから捨てていく
ミニマリストになるための第一歩は「モノを減らす」こと。
そのためには今家にあるモノの「要・不要」の判断をしなければなりません。
自分ではなかなか捨てられない、判断ができないという方は、まずは明らかに不要なものから手放していきましょう。
判断ポイントは以下のとおりです。
- 重複しているもの
- 壊れているもの
- 汚れや傷がひどいもの
- 明らかなごみ(ペットボトル、チラシ、レシートなど)
- 1年以上使っていないもの
手放す方法は捨てるだけではなく、人に譲る、リサイクルショップで売るなどでもOK.。
どうしても処分に罪悪感がある場合は物に感謝して手放すようにしてください。
モノを減らすには最初が肝心です。
「手放すことができた」という成功体験が増えるほど自信に繋がり、その後も手放すことができるでしょう。
ステップ2.収納用の箱、家具を手放す
収納スペースがあるとその分、収納できると考えてモノを増やしてしまいがちです。
例えばタンスが大きいとたくさん服がしまえるため、どんどん服を買うようになってしまいます。
本当に必要なものを収納できるだけの箱や家具などを手元に置いておくようにしてください。
モノが減り、空いた収納箱や家具などはできるだけ手放すようにしましょう。
ステップ3.モノの「定位置」や「限度」を決める
自分の持ち物を本当に必要な分だけにしたら、それを収納する「定位置」を決めます。
どこへ置くかや収納するかを決めておけば、しまう場所を迷うことや失くすこともなくなりますし、使った後にすぐ元の場所へ戻せるようになるでしょう。
それと同時にモノの量の「限度」も決めておきます。
例えばコップは3個まで、洋服は10着まで、というように限度を決めておき、一つ増やしたら一つ減らす…などモノを一定以上増やさないように気を付けましょう。
ミニマリストになるうえでの注意点
ミニマリストにはメリットだけではなく、デメリットの部分もあります。
やり過ぎてしまうとトラブルになる恐れもあるため、以下のことに注意してください。
捨てることを目的にしない
ミニマリストを目指すと、モノを減らし、捨てることだけを目的にしてしまう人もいます。
常に何か捨てるものがないかを探している状態で、本当は必要なものや、家族のものも勝手に捨ててしまうようになるかもしれません。
ミニマリストの目的はあくまで「本当に必要な物だけに囲まれて豊かな生活を送る」のが目的だということを忘れないようにしましょう。
趣味のものなど、自分の心が豊かになるものは手放さなくてもよい
ミニマリストになるからと言って、使っていないものは必ず手放さなくてはならないというわけではありません。
なかにはどうしても大切なモノ、思い出の品、趣味のものなどもあるでしょう。
自分の心に必要なものは無理をして手放すのではなく、整理して保管しておくのも一つの方法です。
あるいは写真に撮っておくことや、一部だけを保管するという手段も考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ミニマリストになることで思考がスッキリし、生活が充実したという人は多くいます。
今回ご紹介したように、ミニマリストには成功者が多いことから、生活が豊かになることで仕事やプライベートに良い影響が出たということも期待できるでしょう。
しかしミニマリストはゴールではありません。
あくまで「豊かな生活にするための一つの方法」です。
ミニマリストになれなかったり、片付けが上手く進まなかったりしても自分を強く責める必要はないでしょう。
できることから少しずつ始めていく、意識をすることが大切です。
2023-11-09