更新日:2024年3月1日
日本庭園でよく見かける庭石ですが、近年では石を組み入れて植物を植え込むロックガーデンに使用したり、玄関アプローチに飾ったりとさまざまな用途で使用されています。
しかし、庭を駐車場にしたいなどの事情によって庭石が不要になったとき、石ということもあり処分方法がわからないという人も多いのではないでしょうか。
庭石の処分は費用がいくらかかるかわかりにくいだけではなく、大きさによってはどのように運搬すればよいのかなど、不明な点も多いものです。
そこで今回は、庭石の処分方法について解説していきます。
お得に処分する方法もありますので、是非参考にしてみてください。
目次
庭石は砂利とは違う?石の大きさと種類
庭造りに関心のある方ならご存じかもしれませんが、庭に置く石は大きさによって呼び名が変わります。
一般的に粒径がおおむね30㎝以内の大きさの岩石は『砂利』と呼ばれ、5㎝以上の大きさの石は『庭石』と呼ばれています。
一昔前は庭石というと日本庭園にある大きな石のイメージが強いものでしたが、最近では家の外構に小さな庭石を敷き詰めているのを見かけるようになりました。
大きさや石の種類によって大きく雰囲気が変わるので、場所に合わせて種類の異なった石をお持ちの方もいるかもしれませんね。
庭石の種類は大きく分けて3種類あります。
1.火成岩(かせいがん)
火成岩とはマグマが地中や地表で冷え固まってできた岩石です。火成岩はその生成状態によって、さらに深成岩・火山岩に分けられます。
・深成岩…マグマが地下の深い所で、ゆっくり冷却固結したもので、岩石全体が結晶質であり大塊となる。
・火山岩…マグマが地表付近で急に冷え固まってできた岩石で、半昌質またはガラス質の斑状のものが多い。
2.堆積岩(たいせきがん)
堆積岩は、水の流れ,波あるいは風によって火山灰、生物遺骸などが海や湖の底に溜まって出来た岩石です。
3.変成岩
変成岩は、火成岩や堆積岩が火山活動や地殻の変動で、地熱や圧力の作用によって変化してできた岩石のことです。
天然の岩石を加工せずに庭に取り入れることを「景石」と呼ぶ
自然にあった大きく価値のある石を、景観のために使用するのが『景石』(加工されてない鑑賞用の庭石)です。
これらは以下の3種類に分けられ、比較的大きな石を庭のポイントに1〜2個置くのが一般的です。
- 山石
- 川石
- 海石
景石は自然の中にある石ですが、採るための人件費や運搬などに費用がかかるため、購入には数万円ほどかかるのが相場だと言われています。
石の役割ごとの分類
庭石には機能的な役割を持ったものもあり、『役石』と呼ばれています。
なかでもよく使用されているものをご紹介します。
飛び石
地面に埋め込まれて配置されるものを飛び石と言います。
人が歩く通路の役割を果たす飛び石は、人が通ることや耐久性のいる場所であるため、御影石や花崗岩といった硬い石が用いられるのが一般的です。
灯籠(とうろう)
灯籠とは、神社や寺院を照らす灯りが一般の家庭でも使われるようになったものです。
園路を照らしたり、蹲(つくばい)※の手元を照らしたりするために使われていました。
最近では機能性だけでなく、庭全体のデザインのために配置されています。
※蹲とは…茶室に入る前に手を清めるために置かれた背の低い手水鉢に役石をおいて趣を加えたもの。
沓脱石(くつぬぎいし)
履物を脱いで置いておくための石で、縁側や茶室など庭よりも高いところの近くに配置されます。
ロックガーデンでよく使用されるのは溶岩石や軽石
石と石の隙間に植物を植栽するロックガーデンでは、水はけが良くなるように手で持てる大きさの溶岩石や軽石を使用することが多いでしょう。
ロックガーデン用に売られている石は機械等で小さく砕き砕石になっていることが多いため、角を取っていないことも特徴です。
ロックガーデン用の石はホームセンターやネット通販でも気軽に購入することができ、値段も20㎏ほどで3,000円~と比較的安く購入できます。
「石」は自治体での処分ができない
石は基本的に自治体での処分は不可となります。
なぜなら石は自然物であり、「廃棄物ではない」ことから回収・処分をおこなっていないということです。
しかしなかには石の回収や、自治体のごみ処理施設での受け入れをおこなっているところもあります。
自分の住んでいる地域が石の回収をしているかどうかは自治体へ問い合わせて確認してみましょう。
石をごみとして出せる自治体の一例をご紹介します。
自治体名 | 石の処分区分 |
横浜市 | ・燃えないごみ 一度に多量にならないよう少量ずつ、半透明の袋に入れて出す |
神戸市 | ・燃えないごみ 袋が破れない程度(おおむね5㎏以下)で出す |
福岡市 | ・燃えないごみ 燃えないごみ量が多い場合は,袋の口が結べて,重さで袋が破けない程度に分けて出す |
仙台市 | ・自然石…石積埋立処分場へ自己搬入して処分 ・人工石… 重量10kg未満または大きさ30㎝未満は「家庭ごみ」 重量10kgまたは大きさ30cmを超えるものは「粗大ごみ」 |
新潟市 | ・燃やさないごみ 片手で持てる程度の重さで指定袋が縛られる状態にする |
【注意!】山や川に石を捨てるのは法律違反
庭石は自然の石を利用することが多く、不要になったときには山や川へ捨ててもよいのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、庭で使用した砂利や石を山や川に無断で捨てることは、不法投棄となり、禁止されています。
(※自身が所有する私有地であれば問題ありません)
これは廃棄物処理法第25条及び第32条で定められており、不法投棄が発覚した際は「5年以下の懲役」もしくは「1,000万円以下の罰金」またはその両方が科せられることとなり、かなり重い罪です。
また、一度庭などの別の場所で使用した石は、化学成分などの影響によって自然への影響が出てしまうことも考えられます。
このようにさまざまな理由によって、石を自然の中へ捨てることはできないことを覚えておきましょう。
庭石を処分する方法7選!
ここからは庭石の処分方法を「自分でできる方法」と「業者へ依頼する方法」の7つお伝えしていきます。
それぞれにメリット・デメリットがありますので状況に合わせ選択してくださいね。
【自分でできる方法】
- 庭に埋める
- ネットオークションやフリマアプリで売却する
- 欲しい人へ譲渡する
【業者へ依頼する方法】
- 造園業者や石材店へ依頼する
- 解体業者へ依頼する
- 石専門の回収業者へ依頼する
- 不用品回収業者へ依頼する
自分で処分1.庭に埋める
手間や時間はかかりますが、庭に埋めるという方法が一番費用がかからずに済む方法です。
基本的に石の処分は費用がかかるものです。
庭に簡単に掘れる場所があれば、穴を掘って石を埋めるだけですので、最も簡単な処分方法と言えるでしょう。
ただし大きな石は埋めるのが困難なだけではなく、後々庭で家庭菜園をする場合や、建物を建てるときに邪魔になる可能性もあります。
大きな石や大量の石の場合は、別の処分方法を選ぶのがよいでしょう。
自分で処分2.ネットオークションやフリマアプリで売却する
デザイン性の高い石など、価値のある石であれば欲しいという人に売却することができます。
庭石を業者に買い取ってもらうことは困難だとされていますが、個人であれば欲しい人と直接やりとりができるために売却できる可能性が高くなるでしょう。
最近ではガーデニングやDIYの流行に伴って石の需要も増えており、フリマサイトでの出品も多数あります。
ロックガーデン用の小さめの石から観賞用の大きな石まで、多種での取引がありますので一度見て参考にするのもいいかもしれませんね。
ただし庭石の取引で注意したいのが「送料」です。
一般的にフリマサイトでは送料込みの商品が売れやすいと言われていますが、重量のある石は送料も高くなりがちです。
例えば120サイズ(3辺の合計が120㎝)の荷物はヤマト運輸では15㎏までで1,850円、ゆうパックの重量ゆうパックプラン(重さは25kg超30kg以下)では2,330円となっており、価格の設定には注意が必要です。(愛知県~愛知県への配送)
また、30㎏を超える場合は配送ができないこともあるため、出品前に確認しておくようにしましょう。
出品方法は以下のとおりです。
- フリマアプリやネットオークションサイトにアカウント登録をする
- 出品したい庭石を写真撮影し、基本情報と説明文などを記載し出品
- 売却先が決まり次第、売却相手に入金をしてもらう
- 梱包をした後、発送
- 配送確認がされたら完了
※フリマサイトやオークションサイトによって販売手数料(取引額の5%~10%程度)がかかりますのでご注意ください。
自分で処分3.欲しい人へ譲渡する
大きな庭石は購入すると高価な場合が多く、なかには数万円~数十万円以上するものもたくさんあります。
例えば国家にも出てくる「さざれ石」は現在、採掘を行っていないところが多いために希少性が高く、1辺が130㎝ほどの大きさもので約20万円、黒っぽい色と穴が特徴の「紫雲石」は1辺の長さが180㎝ほどのもので45万円と、高額なものも珍しくありません。
価値のある石は欲しいという人も多く、引き取り手が現れることもあります。
「ジモティー」などのネット上の掲示板を利用するなどをして、個人譲渡する方法を探してみてはいかがでしょうか。
ただし石の大きさによっては配送が困難であるほか、発送費用も高額になってしまうおそれがあるため、直接渡せる人を探したり、引き取りに来てくれる人を条件にしたりして手放すことも検討してみてください。
また、必ず引き取り手が見つかるとは限らないため、処分に期限がある方は気を付けましょう。
業者で処分1.造園業者や石材店へ依頼する
普段から石を取り扱っている造園業者や石材店では、庭石の引き取りを有料でおこなっています。
多くの店舗ではホームページなどから見積もりを受け付けているため、事前に調べておきましょう。
一般的に、業者へ見積もり依頼をしたあとの流れは以下のようになります。
1⃣業者に連絡 ⇒ 2⃣現地視察(見積もり) ⇒ 3⃣工事(石の撤去) ⇒ 4⃣支払い |
確実な見積もりを取るためには実際に現地を見てもらうのがよいですが、石の大きさや個数がわかっている場合や、自分で採寸できる場合には現地視察が不要になることもあります。
業者のなかには出張見積もりの際に出張費がかかる場合もありますので、その辺りも確認しておくとよいでしょう。
庭石の撤去費用は業者によって異なるため、2~3社程度へ見積もりを取るのがおすすめです。
業者で処分2.解体業者へ依頼する
建物の解体を請け負っている業者では、庭石の撤去や処分をおこなってくれることもあります。
例えば庭を駐車場に変えたい場合や、庭を広くして芝生を敷きたい、ブロック塀を撤去したいなどで解体作業が必要になるときは、外構工事の業者でも庭石の撤去を依頼できるでしょう。
このような解体業者(外構業者)は塀や庭木などを撤去するための重機が豊富に揃っています。
また、廃棄物を処理するための手段やルートを持っているため、他の廃棄物と一緒に庭石を安く引き取ってくれるかもしれません。
自宅や庭のリフォームを考えている方は一緒に庭石の引き取り・処分を依頼してみてはいかがでしょうか。
ただしこちらも業者によって費用が異なるため、複数社で見積もりを取るようにしましょう。
業者で処分3.石専門の回収業者へ依頼する
地域によっては石や砂利を専門に回収している業者もあります。
このような業者では少量から大量の石や、灯籠や蹲(つくばい)、砂利や石像など多様な石の処分をおこなっていることが多いため、他店で断られたという場合には相談してみましょう。
例えば一般的な産廃業者では溶岩系の石の引き取りをおこなっておらず、石の種類によって引き取り可能なもの、不可のものがあるようです。
しかし、石の専門業者ではどのような種類の石も引き取ってもらえることがあるため、お近くの業者を探してみてください。
このような石の回収業者は自治体へ相談すると紹介してもらえることもあります。
業者で処分4.不用品回収業者へ依頼する
家庭から出る不用品の処分をおこなっている「不用品回収業者」でも、石の回収・処分をおこなっています。
不用品回収業者では石以外の庭木や土、プランターなどのガーデニング用品や、倉庫の中の物品、家の中にある家具や家電など、大体のものは引き取りが可能ですので、庭石以外にも処分したいものがある場合におすすです。
ただし、大きな石や石像、灯篭などは回収時にクレーン車などの重機が必要になることが多く、業者によっては対応できないこともあります。
ホームページなどから事前に問い合わせるか、見積もりを取るなどをして作業や回収が可能かどうかを確認しておきましょう。
また、こちらも事前に複数社で見積もりを取り、希望に合った条件や金額の業者を選ぶようにしてください。
一般的な不用品回収業者での依頼の流れは以下のとおりです。
1⃣メールや電話で業者へ問い合わせ ⇒ 2⃣見積もり ⇒ 3⃣作業(石の撤去) ⇒ 4⃣支払い |
庭石の処分費用
庭石の処分にはいくらくらいかかるのでしょうか。
ここでは処分費用について詳しくみていきます。
庭石の処分費用の相場
一般的に、庭石の処分費用は1㎏40円ほどが相場です。
1㎥あたり(2.5t~3t)は約4万円になりますが、このほかに人件費や移動費、クレーン車などの重機を使用する場合はその費用もかかります。
この費用は業者によって異なりますが、クレーン車を1日使用する場合、3万円前後かかると考えてください。
また、庭石を掘り起こしてトラックに載せるまでの作業費用は約1万円~2万円程度です。
ただし、大きな石は石を破砕してからトラックへ積み込んだり、重機が入らない場合は人力で運搬したりと特殊な作業が必要になります。
その場合は別途費用がかかりますのでご注意ください。
※石の塊が一つだけなどの大きな石の場合は、石のサイズ(たて、よこ、高さ)を伝えると見積もりがスムーズになります。 |
業者での石の買取は不可
石は種類によって高額になりますが、ほとんどの業者で石の買取はおこなっていません。
庭石はそこまで需要が高いとは言えないことから、高価なものであってもわざわざ買い取ってくれないというのが現状です。
しかしなかには灯篭や、希少な石の買取をしている業者もありますので、お持ちの方はお近くの業者へ問い合わせてみてください。
業者へ依頼するときには相見積もりをする
庭石の撤去は特殊な作業を必要とすることも多く、費用が高額になりがちです。
例えば大きな庭石の撤去や埋まった石を掘り起こすためなどに、クレーン車やショベルカーを使用すれば数十万円の費用がかかることもあるでしょう。
依頼の前には、業者によって特徴や料金体系もさまざまですので、2~3社で相見積もりを取ることをおすすめします。
庭石の処分 まとめ
今回は庭石の処分方法について解説してきました。
注意点をまとめると以下のとおりです。
- 庭石の回収・処分はおこなっていない自治体がほとんど
- 石を私有地以外の自然(山・海・川・公園など)へ廃棄することは法律で禁止されている
- 庭石の買取はほぼおこなっていない
庭石の処分は自分でおこなうには労力と手間がかかります。
また、大きな石を自分で破砕するには道具や知識が必要になることもあり、大変な作業なのでおすすめはできません。
庭石の処分には業者へ依頼するのが安心です。
石の撤去専門業者では、大きな石から砂利、土などの処分を依頼できることもありますので、状況に合わせて選択するようにしてください。
また、不用品回収業者では石の撤去以外の家庭での不用品の回収・処分も依頼できます。
不用品の買取をおこなう業者もありますので、庭石以外の不用品もある場合はこちらのほうがお得に利用できるでしょう。
「ラクタス」のグループ会社「出張回収センター」でも、石や砂利、土や、家庭内の不用品の回収をおこなっています。
メールや電話で簡単に見積もりもできますので、お気軽にお問合せください。
2023-11-20