更新日:2023年4月12日
「空き家になった実家を自分だけで片付けることは可能?」
「空き家を無駄にせずに活用したい」
誰も住んでいない実家の片付けにお困りではありませんか?
日本で増え続ける空き家は、団塊世代が75歳を迎える2025年を皮切りに、ますます増えるだろうと問題視されています。
空き家整理は、家財の整理や相続対策など手間のかかるものばかりなので、早めに取り組むことが大切です。
この記事では、空き家の片付け・整理を自分で行う手順や、業者に依頼する判断基準・選び方などを知っておきたい情報を一気に紹介します。
空き家を放置することの危険性を把握して、最適な方法で空き家を整理しましょう!
目次
空き家とは
国土交通省によると、空き家とは「1年以上居住またはその他の目的で使われていない状態の建築物」を指しています。
具体的には以下のような状況で判断されることが多いです。
- 人の出入りがない
- 電気、ガス、水道が利用されていない
- 敷地内の立木の手入れがされていない
名古屋市によると、平成28年の市内の空き家に関する相談・通報は688件も寄せられており、現在も空き家問題は続いています。
平成30年の住宅・土地統計調査によると、名古屋市の空き家率は12.7%であり、約8戸に1件が空き家という状況です。
参照:名古屋市の空き家の現状、平成30年住宅・土地統計調査結果(名古屋市)
空き家が増加した原因
全国各地で空き家が増加している主な原因には、以下の3点が挙げられます。
- 少子高齢化
- 新築の需要が高い
- 相続後の管理不足
少子高齢化に伴い、高齢者が介護施設や老人ホームに移ると、空き家が増えます。
空き家の管理ができる子どもなど親族が少ないと、家を持て余す状況になるでしょう。
また、日本人は住みやすい新築物件を好む傾向があり、「新しいもの好き」という価値観が昔から根付いていることも空き家を増やす原因といえます。
そして、3つ目の原因が空き家の相続問題です。
遠方に住んでいる親が亡くなった後に、空き家となる実家を相続すると、管理の難しさや、相続人の間の意見の食い違いなど、複雑な問題を抱えることがよくあります。
その結果、なかなか話が進展せず、管理されていない状態の空き家が増えてしまうのです。
空き家を放置するリスクとは
空き家整理は、やらなければならないことが多く放置してしまう人も少なくありません。
しかし、放っておくと余計に大変な問題が生じることを知っておきましょう。
災害で倒壊・破損する恐れ
空き家を放置すると、建物自体の老朽化が進み、地震や台風などの自然災害で倒壊する恐れがあります。
万が一、空き家が破損した影響で、周囲の住民が逃げ遅れたりケガをしてしまったりと二次被害が生じると、所有者は「工作物責任」が問われて損害賠償金を支払わなければなりません。
災害後に取り残された空き家は、悪臭が発生したり壊れた瓦礫が放置されたりと、近隣住民の苦情につながってしまいます。
不法投棄・放火など犯罪が起きやすい
空き家は、犯罪の温床となりやすいです。
特に以下のような事案が各地で発生しており、近隣住民が被害を受けることにもなりかねません。
- 放火
- 不法投棄
- 窃盗
一度不法投棄された空き家は、ポイ捨てする人を増やすきっかけとなり、ごみの不法投棄場所として知られてしまうことがあります。
悪臭や害虫が発生すると、街の景観を損ねるだけでなく、地域全体の治安や資産価値を低くする要因となるでしょう。
固定資産税が高くなる恐れ
空き家を放置すると、古くなった家のメンテナンスにお金がかかるからと、更地にすることを検討する人もいらっしゃいます。
しかし、空き家を更地にすると住宅用地特例の対象から除外されるため、減税措置がとられません。
同じ敷地面積でも、更地にすると住宅用地と比較して約3.14倍も高くなってしまいます。
特定空き家とは?デメリットや対策
更地にすると固定資産税が高くなることから、空き家をそのまま解体せずに放置するケースも多いです。
しかし老朽化した空き家が「特定空き家」に指定されると、新たな問題が発生することをご存じでしょうか?
ここでは、特定空き家のデメリットや指定されないための対策について解説します。
特定空き家と指定される条件
特定空き家とは、2015年に施行した「空き家対策特別措置法」で定められた、管理が不十分な空き家のことです。
近隣住民が、放置されている危険な空き家を自治体に通報することで、調査が始まります。
以下のいずれかに当てはまる場合が、国土交通省が認定する「特定空き家」です。
- 倒壊の恐れがある(屋根の破損、傾き・ゆがみ等)
- 衛生上有害である(悪臭・害虫)
- 著しく景観を損なっている(不法投棄されている等)
- その他、生活環境の保全上放置できない状態(倒木などの放置)
特定空き家に指定されると、自治体からの助言・指導や勧告を受けることになり、速やかに対処しなければなりません。
特定空き家に指定されるデメリット
特定空き家に指定されたにも関わらず、自治体からの勧告を無視すると、住宅用地としての特例対象が解除されます。
その結果、下記の減税措置が無効となり、税金を多く支払うことになります。
- 固定資産税の最大6分の1の減税
- 都市計画税の最大3分の1の減税
その他にも、空き家対策特別措置法に基づき、命令に背いた場合は50万円の罰金や、行政代執行の対象になることも。
行政代執行とは、特定空き家の強制的な解体を指しており、解体費用は全て所有者に請求されます。最悪の場合、財産差し押さえや、公に報道されることで、社会的信用も失うことになるかもしれません。
名古屋市内だけでも、特定空き家は100件以上存在し、2021年には行政代執行で撤去した特定空き家がニュースとなっています。
【特定空き家対策①】空き家バンクに登録する
特定空き家に指定されないためには、空き家を放置せず片付け・整理して、再利用することが望ましいです。特定空き家対策の一つの方法として、「空き家バンク」に登録することを検討しましょう。
空き家バンクとは、主に自治体が運営している空き家売買支援サービスのこと。
空き家バンクを利用する所有者側のメリットは以下の通りです。
- リフォームの助成金や補助金が利用できる
- 広告掲載費が無料
空き家解消だけでなく地域活性化に貢献することも目的としているため、移住希望者に積極的に宣伝してくれる傾向があります。
ただし、自治体によっては、不動産仲介業者が入らないため、契約に関するトラブルには十分に注意しなければなりません。
【特定空き家対策②】賃貸物件として運用
定期的な空き家の管理が難しい場合、きれいな状態にしてから賃貸物件として運用することも一つの選択肢です。
人が住んでいる状態なら、空き家にならず長期的な家賃収入も見込めます。
「相続した実家を手放したくない」「遠方なので自分が住むわけにもいかない」と悩んでいる方には最適な解決策といえるでしょう。
ただし、築年数に応じて水回り等のリフォームが必要になることや、入居後の修繕費用も負担しなければならないことに注意が必要です。
名古屋市の空き家バンク・補助金
名古屋市では、空き家に関する補助金制度や支援事業を設けています。
事業名 |
事業内容 | 対象の空き家 | 金額 |
名古屋市老朽危険空家等除却費補助金 | 更地にする工事 | 特定空き家 (※周辺に著しい保安上の危険を及ぼしているもの) |
危険度の点数に応じて最大80万円の補助 |
名古屋市空き家活用支援事業費補助金 | 地域活性化を図る目的での改修工事 | 特定空き家を除く建築物 | 改修工事費の3分の2(最大100万円の補助) |
【ふるさと納税】 空き家管理サポート |
管理が難しい空き家 |
シルバーセンターの会員による見回り・報告 |
寄付金額 |
名古屋市空き家バンクでは、空き家の賃貸・売却に関する電話窓口があるので、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
自力で空き家を整理する手順
空き家は、計画的に準備をすれば、自分達だけでも片付け・整理ができます。
ここでは、効率的に空き家整理を進める手順を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
日程調整、期限や残す量を決める
一軒家の空き家の片付けは、2週間程度を目安に予定を組む必要があります。
遺品整理がある場合は、家族や親戚など複数人で作業することを想定し、日程調整を行いましょう。
また、作業完了予定日を決めておくと、集中して作業できます。
遺品は、できるだけとっておきたいと思っても全て残すわけにはいきません。
「段ボール何個分」など残す量を決めることで区切りがつきやすくなるでしょう。
通常の清掃道具以外に、以下のものがあると便利です。
空き家を整理する前に、必要に応じて少しずつ用意してください。
- 養生テープ、ひも、段ボール
- 害虫対策グッズ
- 滑り止め付きの軍手、ゴーグル、防塵マスク
- 剪定ハサミ、除草剤など
その他にも、作業前に、空き家の様子を細かく撮影しておくことも大切です。
万が一、家財の破損や相続トラブルが起こった際に、有効な証拠となります。
導線の確保・仕分け作業
空き家整理のスケジュールが決まったら、導線を確保して、処分するものと残すものを仕分けていきます。
まず玄関や庭から片付けを始めて、仕分けやごみ出しの邪魔にならないように導線を確保することが大切です。
貴重品や資産価値がある品は、一つの部屋にまとめて整理をすると良いでしょう。
空き家整理で残した方が良いものは、以下の通りです。
- 通帳、印鑑
- 契約書、権利書
- 身分証明書
- 証券
- 鍵
- 美術品、宝飾品、ブランド品
- 写真、手紙 など
その他、医療介護用品などレンタルしていた物があれば返却しなければなりません。
空き家に故人の大切にしていた持ち物は、すぐ処分を決断せず、家族と十分に話し合ってから形見分けしましょう。
自治体でごみを処分
空き家整理で捨てるものは、自治体のごみ分別のルールに従って、処分していきます。
粗大ごみの処分は、前もって予約が必要なので、早めに申し込みましょう。
燃えるごみなど量が多い場合は、何日かに分けて処分することが望ましいです。
衣類や家電などの不用品を処分したい場合、自治体以外に以下の方法で処分が可能です。
- 不用品回収・買取業者に依頼
- フリマアプリ・オークションに出品
- 施設などに寄付
- 知人に譲る
冷蔵庫や洗濯機は自治体で粗大ごみとして処分できないため、適切にリサイクルしなければなりません。
部屋・庭の掃除をする
不用品や貴重品の整理が終わったら、部屋と庭の掃除をしていきます。
二階から一階に、奥の部屋から玄関へ、ほこりをきれいに取り除くと、効率的です。
こまめな換気や水分補給を徹底し、体調管理にも気を付けて行いましょう。
天候により庭の掃除が進まない場合もあるため、余裕を持ったスケジュール調整が必要です。
自力で空き家整理できるかどうかの判断基準
空き家整理は自力でも行えますが、家の状況などによっては難しいケースも少なくありません。
下記に当てはまる方は、部分的にでも業者に依頼することで心身の負担が軽くなるでしょう。
- 部屋数が3部屋以上
- 水回りが使えない
- 体力的な問題がある
- 力仕事が苦手
- 遠方で十分な時間がとれない
「ごみの量が多く分別できない」「持ち運べない粗大ごみがある」といった状況の場合は、不用品回収業者に依頼する必要があります。
家屋の損傷があると、作業中にケガをする危険性もあるため、専門の解体業者やリフォーム業者に依頼することも検討してください。
空き家整理業者の費用相場
空き家整理を業者に依頼する場合のおおまかな費用の相場を紹介します。
間取り | 費用 |
1R | 約3万~7万円 |
1LDK | 約7万~20万円 |
2LDK | 約10万~30万円 |
3LDK | 約20万~50万円 |
費用は、作業員の人数やごみの量によっても大きく変動します。
その他、下記のような作業を伴う場合は、費用が高くなることを想定しておくと安心です。
- ハウスクリーニング
- 特殊清掃
- 解体、リフォーム作業
- ごみ屋敷の害虫駆除 など
空き家整理は、複数のサービスを提供している「遺品整理業者」にまとめて依頼すると楽です。
まずは、今後の空き家の使い道や家の状況を考慮して、業者に依頼したい作業内容を決めてください。
見積もりを依頼して、提示された内訳を比較検討すると良いでしょう。
空き家整理を依頼する専門業者の選び方のコツ
空き家整理を業者に依頼したくても、どのように選べば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか?
特に、実家の遺品整理を含む空き家の片付け・整理を依頼するなら、下記のポイントを押さえて信頼できる業者を選ぶことをおすすめします。
- 料金体系や見積もり内容が明瞭
- 古物商許可証、一般廃棄物収集運搬許可を持っている
- 特殊清掃・ハウスクリーニングの実績がある
- 空き家の売却・解体に関するサポートがある
- 遺品整理士が在籍している
不用品買取に対応していれば、その分費用を安く抑えることが可能です。
また、遺品整理業者の中には、供養も一緒に依頼できるところもあります。
空き家になる前に生前整理として取り組むとスムーズ
今後、空き家整理を行う予定がある場合は、生前整理として空き家となる実家の片付けを進めると、スムーズに片付けられます。
生前整理をするメリットは、以下の通りです。
- 空き家の活用について事前に話し合える
- 貴重品の整理により紛失を防止できる
- 空き家のメンテナンスがしやすくなる
遺言書やエンディングノートがあると、不用品や貴重品の仕分けが楽になるだけでなく、親族間のトラブルを回避できます。
空き家を処分して実家じまいをする場合は、家族が元気なうちに話し合い、施設に入るタイミングなどで整理をすることも検討できるかもしれません。
本人や家族にとって最良の選択となるように、時間をかけて話し合えるのが理想的です。
まとめ:空き家の片付け・整理は、専門業者を上手に活用して負担を減らしましょう!
空き家を放置すると、近隣住民の迷惑になり、倒壊や不法投棄といった問題に発展しやすく非常に危険です。固定資産税が高くなるなどデメリットしかないため、早期に片付けることをおすすめします。
計画的に自分達で空き家整理をすることもできますが、実家に足を運ぶ時間がない方や人手が足りない方は、遺品整理や不用品回収業者に依頼することも検討しましょう。
愛知・名古屋に拠点を持つ片付け専門業者「ラクタス」では、不用品回収・買取の他に、遺品整理専門サービス「ウィルケア」もご利用いただけます。
ウィルケアでは、遺品整理士の資格を持つスタッフが生前整理や遺品整理の業務を担当し、不用品の処分やハウスクリーニングも同時に行うことが可能です。
将来、空き家の売却や賃貸、解体などを検討している方には、信頼できる不動産業者や解体業者を紹介し、複数見積もり・相談も行っております。
ワンストップで空き家をスピーディに片付けたい方は、ぜひラクタスにおまかせください!