更新日:2024年5月22日
家や庭などにごみや物が積み上げられ、放置されている状態のいわゆる「ごみ屋敷」は、ここ数年で増加傾向にあり、社会問題となっています。
その原因の一つであるとされるのが「高齢化」です。
ごみ屋敷の住人は高齢者であることが多いと言われており、高齢化率と比例するようにごみ屋敷の報告件数も増加傾向にあります。
なぜ高齢者に多いのか、その原因はさまざまですが理由の一つとして最近注目されているのが「ディオゲネス症候群」。
別名「老年期隠遁(いんとん)症候群」や「ごみ屋敷症候群」と呼ばれており、誰しもがなり得る可能性があるため注意が必要です。
今回はそんな「ディオゲネス症候群」について詳しく解説するとともに、発症したときのリスクや解決策についてもお伝えしていきます。
目次
65歳以上は注意!ディオゲネス症候群とは何か
「ディオゲネス症候群」は主に老年期に見られる行動障害、精神症状で、65歳以上の人に起こると言われています。
具体的な症状や原因について解説していきます。
ディオゲネス症候群の症状
ディオゲネス症候群とは以下のような状態のことを言います。
- 身だしなみに気を使わない
- 掃除や片付けをしない
- 自宅に物を大量にため込む
古代ギリシャの哲学者・ディオゲネスにちなんで名付けられたディオゲネス症候群。
社会から孤立し、身だしなみや衛生面に無頓着となった高齢者が、不衛生な住環境で暮らす状態を指しており、対策をせず放置していればいずれ家がごみ屋敷となってしまうのが想像できます。
ディオゲネス症候群は、「社会から孤立している」というのも大きな特徴です。
外出をしない、家族や友人がいないなど、周囲と関わりを持とうとしないこともディオゲネス症候群への進行を早めてしまう原因だと言えるでしょう。
過度な溜め込み行動もみられる
ディオゲネス症候群の特徴の一つに、過度な収集行動というものが含まれます。
心理学者・アナベレンサントスによると、ディオゲネス症候群は「自分の財産や所有物を取り除くことやそこから離れることが非常に困難な人々に起こりやすい」とのこと。
モノに強い執着心があり、本来ならば捨てられるはずの物であっても、手放すことができずに溜まっていくというわけです。
モノを捨てられない・集めてしまうという行動は、家の中に物が増え、散らかっていくことを避けられません。
あちこちに郵便物やごみが山積みになっていたり、冷蔵庫や戸棚の中などに賞味期限切れの食べ物が溜まっていたりといった行動がみられる場合は要注意です。
ディオゲネス症候群によって溜め込み行動が進むと、部屋の生活スペースを圧迫し、住人の生活や安全にも悪影響となることが予想されます。
ディオゲネス症候群が進行すると死亡率が高まる
ディオゲネス症候群の研究をしている『東京都健康長寿医療センター研究所』によると、ディオゲネス症候群を発症した人は、発症していない人に比べて1年以内の死亡率が2倍程度増加することがわかりました。
なぜ死亡率が2倍にまで増加してしまうのか、その理由としてディオゲネス症候群の症状や特徴と大きく関係があると思われます。
そもそもディオゲネス症候群である人は社会から孤立しており、周囲に助けを求めないことから救急車で運ばれたり、孤独死が発見されたりするときにごみ屋敷の住人であることが判明されることも多いといいます。
周囲がその状況に気付けないということは、知られざるディオゲネス症候群の高齢者が身近にいるかもしれません。
そしてディオゲネス症候群の人は歩行や入浴、トイレに助けが必要な人が多く、自力での生活が困難な状況がほとんどです。
ごみの排出や片付けどころか、傷んだものを食べることや何日も入浴していないこともあるでしょう。
このような状況下では基本的な生活が困難で、命の危険のリスクが高まることが予想できます。
ディオゲネス症候群になる原因
なぜディオゲネス症候群になるのかについて、ハッキリとした原因は解明されていません。
しかし、『東京都健康長寿医療センター研究所』によると、ディオゲネス症候群はある条件下にいる高齢者がなりやすいことがわかっています。
そしてこの条件が揃っている場合、誰しもがディオゲネス症候群になり得るということです。
その条件とは次のとおりです。
- 独居高齢者である
- 認知症患者である(認知機能の低下)
- 身体機能が衰えている
- 適切な支援がない
独居高齢者である
ごみ屋敷の住人には一人暮らしの人が多いと言われています。
一人暮らしであることで他に頼れる人がいなかったり、人の目を気にせず片付けをサボってしまったり…というようなことが考えられますが、ごみ屋敷の住人に共通する問題は「孤独」だということです。
これはディオゲネス症候群にも共通して言えることで、孤独や孤立は物を溜め込んだり、精神疾患の原因になったりすることもあります。
例えば、パートナーとの死別や子どもの独立などは「溜め込み症」のきっかけになるとも言われ、寂しさを紛らわすために、物やごみを溜め始めるケースが多いでしょう。
ほかに、「引きこもり」や「セルフネグレクト※」を進行させてしまうことも考えられます。
また高齢者の場合、身体に少しでも不自由があると一人暮らしであることは汚部屋の原因にもなります。
風邪をひいたりケガをしたりしたときに、困りごとを気軽にお願いできる人がいないことでごみを捨てられず、不調が長引けばごみの溜め込みが起こるでしょう。
※セルフネグレクトとは…生活環境や栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようという気力を失い、周囲に助けを求めない状態
認知症患者である
ディオゲネス症候群は認知症にみられる症状と似ており、ディオゲネス症候群を発症することによって認知症を進行させる、またはその逆もあると言われています。
そもそも認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことです。
認知症によって認知機能が低下すると「理解」「判断」「論理」といった機能が低下し、言葉が出ない、物忘れが多いなどの症状によって日常動作に影響が出るでしょう。
そうなると当然、ごみかどうかの判断ができないことやごみ出しの仕方がわからない、といったことになり、家の中も汚れていってしまいます。
身体機能が衰えている
加齢や病気による身体機能の低下もディオゲネス症候群の原因となる一つです。
身体機能が衰えると、これまでできていたことができない、という事態に陥ります。
例えば「ごみが重たくてごみ出しが気軽にできない」「ごみ収集所まで歩くのが困難」などです。
ほかにも、買い物が行きにくい、片付けや掃除が大変になったなど、日常生活での不便さを感じることもあるでしょう。
お伝えしたように、ディオゲネス症候群になっている人はトイレや入浴などが困難な状況にあり、援助を必要とする人が多くいます。
そのような状況下でも、定期的に支援者が訪れるのであればディオゲネス症候群にはならないかもしれません。
周囲に助けを求めることができないのもディオゲネス症候群の特徴であり、ごみ屋敷化してしまう原因だと言えるでしょう。
適切な支援がない
先ほどもお伝えしたように「適切な支援がない」というのは大きな問題です。
「どこへ助けを求めていいかわからない」といったケースもありますが、厄介なのが「自ら援助を拒む」というケースです。
ディオゲネス症候群の名前の由来でもある古代ギリシャの哲学者・ディオゲネスは、「孤独で不潔な生活をする、自らの体の状態への配慮がない、外的援助を拒む」ことから「変わり者」として扱われていたそうです。
この3つの特徴こそがディオゲネス症候群の名前の由来とも言えますが、要するに外的援助を拒んでしまうというのがディオゲネス症候群の解決が難しいところでもあり、ごみ屋敷へと進行してしまう原因にもなっています。
これまでお伝えしているように、ディオゲネス症候群になると自力での生活は難しいため援助が必要になることが多いのですが、一人暮らしで身内や友人がいなければ、その状況に気付くことも困難になるでしょう。
ディオゲネス症候群の背景にあるものとは
ごみ屋敷の原因として取り上げられるのは「住環境」についてが多く、実際にごみ屋敷の住人の多くは独居だと言われています。
しかし、ディオゲネス症候群の場合、原因は独居であること以外にも多くの複雑な問題が存在します。
高齢者の引きこもりが増加
近年、高齢者の引きこもりが問題になっていますが、それには2020年から流行した新型コロナウイルスの影響があると言われています。
感染が拡大した2020年以降、外出自粛要請が出されたことも相まって高齢者の外出機会は大幅に減りました。
新型コロナウイルスの扱いが5類に移行した現在では、通常の生活に戻りつつありますが、それでも引きこもりの数は増加傾向にあります。
引きこもりと言うと学生など若い人のイメージを持つ方も多いと思いますが、近年は50代以上の高齢者の引きこもりが多く発生しています。
原因は精神的なショックや病気などさまざまですが、新型コロナウィルスによって加速したとの報告もあるようです。
引きこもりは『自室や自宅からほとんど出ない、買い物など必要最低限しか外出しない』などが6カ月以上続くと要注意とされ、酷くなると身体の衰弱や経済的困窮などの問題も出てきます。
引きこもり状態になると運動機会が大きく減り、筋肉量や身体機能が低下するため、ますます動きにくくなるなど悪循環となるでしょう。
また、人と会う機会が減ることで刺激がなくなれば、認知機能の低下や社会からの孤立へと繋がります。
高齢者の引きこもりは若い人と違い、「少し歩きにくくなった」「疲れやすくなった」などがきっかけで起こることも。
このように「加齢に伴って心身の衰えた状態」のことを『フレイル』と言いますが、フレイルになることで引きこもりがちになる→社会から孤立する→ディオゲネス症候群になるというケースも多いと言います。
自分に無関心である
ディオゲネス症候群の特徴として「自らの体の状態への配慮がない」ことがあります。
「自分でもキレイにしたいと思っているが、身体的な問題によってできない」というのとは違い、自らにそのような意思がない、というのは「セルフネグレクト」に陥っている可能性もあります。
すでにお伝えしたように、セルフネグレクトとは『自己管理ができず、生活環境や栄養状態が悪化している状態』のこと。
若い人から高齢者まで起こる可能性がありますが、内閣府の調査によるとセルフネグレクト状態の高齢者は全国で約1万人にものぼるとされており、引きこもりと同じく増加しています。
セルフネグレクトとディオゲネス症候群
ディオゲネス症候群は、セルフネグレクトが悪化した状態とも言われています。
セルフネグレクトになると食事、衛生、保健などの身の回りのことが疎かになり、次第に部屋や生活が荒れていきますが、これが進行するとディオゲネス症候群になるということです。
このことからも、ディオゲネス症候群はセルフネグレクトと密接な関係にあると言えます。
セルフネグレクトになる原因はさまざまですが、以下の状況下にいる高齢者はなりやすいと言われています。
- 一人暮らしで孤立している
- 記憶力または判断力が損なわれる病気(認知症・アルツハイマー病など)を患っている
- 複数の慢性疾患がある
- 経済的に生活が厳しい
- 精神的に大きなダメージを受けた
セルフネグレクトは単なる「ずぼら」と違い、自分への虐待行為だとも言われています。
自分もしくは衣服の清潔を保たない、ごみを捨てられない、請求書の支払いをしない、など以外に、ほとんど食事をとらない、病院へ行かないなど生きるために必要なセルフケアを怠るため、栄養失調や脱水症状になることも。
ディオゲネス症候群においても、自分の身体が不潔であっても気にならない、健康状態に無頓着などの症状が出るため、よく似ていると言えるのではないでしょうか。
ディオゲネス症候群とセルフネグレクトは密接な関係にあると言えますが、どちらもごみ屋敷になるだけではなく、孤独死の原因にもなるため注意しなければなりません。
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支援を拒む高齢者
ディオゲネス症候群の高齢者は周囲に発見されにくく、自宅がごみ屋敷のような状態になっていても、遠く離れた家族であれば全く気付かないことも多いでしょう。
また、ディオゲネス症候群になった高齢者は自ら病院へ行くことはなく、多くは食事をきちんととっていないことや不衛生な環境下で過ごしていると予想されます。
このような状況が続けば、免疫が低下し感染症にかかるのは時間の問題かもしれません。
そのため、ある日突然病院へ運ばれたり、連絡が取れないと思ったら自宅で倒れていたり、最悪の場合孤独死になってしまうケースも多いと言います。
もし自ら支援を求めていれば、このような事態は避けられるのではないでしょうか。
実は、セルフネグレクト状態にある高齢者の場合、地域や保健所などが手を差し伸べても拒否をするケースが多く、公益社団法人「あい権利擁護支援ネット」の調査によると約半数が支援を拒否したという報告もあります。
ディオゲネス症候群においても支援を拒むことで発見が遅れ、進行が進んだり手遅れとなったりすることが大きな問題と言えるでしょう。
ディオゲネス症候群によるごみ屋敷・汚部屋のリスク
ディオゲネス症候群によるリスクとして、周囲にも影響が大きいのが「住宅の汚部屋化・ごみ屋敷化」です。
汚部屋やごみ屋敷はさまざまなリスクが考えられるうえ、住民が高齢者であれば命の危険と直結してしまいます。
近隣住民から苦情が来ることも考えられるため、家族や身近な人に起こった場合は早急に対策したほうがよいでしょう。
高齢者のごみ屋敷・汚部屋によるリスクとは
ディオゲネス症候群になっているということは、すでに部屋は散らかっている状態でしょう。
もし、自分の部屋が汚くても迷惑はかからない、問題ないと思っているのであればそれは間違いです。
ごみ屋敷や汚部屋にはさまざまな悪影響があり、体力や免疫力などが低下している高齢者は特に注意が必要です。
リスク1.不衛生な環境によって病気になる
ごみ屋敷や汚部屋では、ごみを捨てることができずに生ごみが放置してあることがよくあります。
高齢者の家では買っておいた食品を食べきれない・食べるのを忘れたなどから、腐っていた…ということもあるのではないでしょうか。
このように、ごみが蓄積した部屋の多くはゴキブリやハエ、ダニなどの害虫が発生するでしょう。
そしてこれらの害虫は健康に深刻なダメージを及ぼすウィルスや細菌を持っています
机の上などに食べ物を放置していれば、害虫が付着し、それを食べることで大腸菌や赤痢菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌などに感染する恐れがあります。
また、部屋中にカビが生えている、埃が溜まっている…という状況も危険です。
埃やカビは空気中にも舞っているため日常的に吸い込んでしまい、アレルギー症状や喘息などを患う可能性も高くなります。
高齢者がこのような疾患にかかると重症化し、死に至ることもあるため注意しなければなりません。
リスク2.メンタルが不安定になる
高齢者による汚部屋やごみ屋敷の原因は、孤独や身体機能の低下が大きいと言われています。
しかし、部屋が汚くなることで余計に人を呼ぶことができなくなり、より一層孤立してしまうおそれもあります。
汚部屋に住んでいることを知られたくないという気持ちから、他人と関わることを避けてしまう人もいるでしょう。
外出が減り、身体機能の低下が進行してしまうおそれもあります。
また、常に散らかった部屋を見て過ごすことで、「片付けられない自分」「だらしがない自分」を責めることになるかもしれません。
汚部屋に住むと自己肯定感が下がると言われており、精神状態が不安定になるとも言われています。
このような状態が続けば「セルフネグレクト」や「うつ病」を発症し、生きていく意欲を喪失するかもしれません。
リスク3.火災や事故などのリスク
ごみ屋敷や汚部屋、モノ屋敷といった「物がたくさんある部屋」は、可燃物が多く、火事になりやすいと言われています。
実際にごみ屋敷での火災件数は多く、物が多い家はよく燃えることから、周囲に燃え移ったり自宅が全焼したりと大きな火災への発展もリスクも高いと言えるでしょう。
火事の原因はコンセントに埃が溜まって起きる「トラッキング現象」や、火の不始末などがあげられますが、ごみ屋敷のように家の周りや庭に物がある場合、放火のターゲットにもされやすいため注意しなければなりません。
放火による火災は消防庁の調べ※によると焚火に次いで2位となっており、いかに危険かがわかると思います。※引用:総務省消防庁「消防統計(火災統計) 令和4年(1~6月)における火災の概要(概数)」
火災が汚部屋となっている高齢者の家で起きた場合、すぐに動けないことや物が多く通路が塞がれることなどによって、逃げ遅れる可能性も考えられます。
物につまづくことや、上から物が落ちてくることによってケガをするリスクも高いと言えるでしょう。
ディオゲネス症候群にならないためには
ディオゲネス症候群にならないためにはどのようなことを意識すればよいのでしょうか。
その予防策についてもご紹介します。
家族の協力
ディオゲネス症候群の予防には家族の協力が欠かせないと言えます。
高齢になると子どもの独立やパートナーとの死別などで、いずれは一人暮らしになってしまう可能性が高いでしょう。
様子を確認できる人がいないことや、注意してくれる人がいないこともディオゲネス症候群の原因の一つです。
子どもがいる場合、できれば同居するのが望ましいですが、現実的には難しいことも多いと思われます。
そのような場合でも、定期的に訪問をおこない、家の様子を把握しておくとよいでしょう。
最近ではセコムのようなセキュリティ会社や、電化製品による見守りサービスが充実しているため、利用するのも一つの手段です。
また、電話で話をするだけでも孤立を防ぎ、住人の孤独感を和らぐことにも繋がります。
コミュニケーションを取ることで、いつもと様子が違うなどのちょっとした変化に気付くこともできるため、こまめに連絡を取るのも有効でしょう。
困ったときの支援先を知っておく
高齢になったときの身体的な衰えや認知機能の低下は誰もが経験することです。
そのような状況になったときに頼れる友人や家族、援助を依頼できる場所を知っておくことが大切でしょう。
例えばボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人など、地域ごとに独自の支援サービスがあるため、事前に調べておくと安心です。
また、多くの自治体ではごみの排出が困難な人への支援があります。
「ごみ出し支援」は単にごみを捨てるだけではなく、作業員が声掛けをおこなうことで生活質の見守りや孤独死の防止にもなるため、高齢者やその家族にとっても安心できるサービスです。
例えば名古屋市では、家庭ごみや資源を玄関まで引き取りにきてもらえる「なごやか収集」というサービスがあります。
このような収集サービスは各自治体でおこなっていることが多く、対象者や申し込み方法などについてホームページで確認できるため、チェックしてみましょう。
認知症など疾患がある場合は適切な治療を
高齢者に多いディオゲネス症候群ですが、その原因としてさまざまな疾患を抱えている場合が多くあります。
代表的な疾患は、原因の一つでもお伝えした「認知症」ですが、もともとADHDやうつ病だった人が認知症を発症するケースや、強迫性障害や統合失調症を抱えているケースもあり、複雑な要因が合わさってディオゲネス症候群になっていることも考えられるでしょう。
これらの精神疾患は適切な治療をおこなえば症状が改善されることが期待されていますが、放置してしまうと進行し、合併症を引き起こす可能性もあります。
おかしいと思ったら早めに専門医を受診し、治療を進めておくことが安心です。
ディオゲネス症候群かも…必要な支援とは
身近な人がディオゲネス症候群になっていたら、どのようにすればよいのでしょうか。
大切なのはごみ屋敷からの脱出と、状況に合わせた適切な支援です。
まずはここを確認!
ディオゲネス症候群は進行すればするほど、解決するのが困難になります。
そのため、早期発見、早めの対策が重要です。
実家に行ったとき、親や兄弟など身近な人の様子を日頃からチェックするのも大切なことです。
次のことを確認するのがよいでしょう。
- 体力が落ちていないか
- 身の回りのことが疎かになっていないか
- 認知能力が大きく低下していないか
- 部屋に物を溜め込んでいないか
加齢によって体力が低下すると、身の回りのことが疎かになってしまいがちです。
例えば衣類が清潔でない(洗えていない)、食事をきちんと取っていない、ごみを捨てていないなど、日常生活に大切なことができていないと生活環境が急激に悪化します。
歩くことや立ったり座ったりなどの行動が辛そうに見えた場合は、部屋のレイアウトを変えたり、掃除機を軽いものに変えたりするなどの工夫も大切です。
また、ディオゲネス症候群になるかどうかは認知能力の低下も重要な判断ポイントです。
認知能力が低下すると適正な判断ができなくなり、無用な物を溜め込むことにも繋がります。
定期的に訪問をおこない、おかしいと思ったら専門医に見せるようにしましょう。
異変に気付いたら「地域包括支援センター」へ相談
地域包括支援センターは自治体が設置する施設で、ケアマネジャー、社会福祉士、保健師など介護、医療、福祉のプロが在籍しています。
高齢者に関しての困りごとや心配事に対しアドバイスを受けることや、担当者が定期的に様子を確認してもらうことも可能です。
また、必要に応じてケアマネジャーが家を訪問し本人の状況を確認してもらえることができるため、まずは相談してみるのがよいでしょう。
お近くの地域包括支援センターを探したい場合は、インターネットで「地域+地域包括支援センター」と検索してみてください。
生活環境・衛生面の改善
ディオゲネス症候群によって家の中がごみ屋敷となっている場合、そのまま生活するのは身体的にも精神的にもよくありません。
ひどく不衛生な状態であれば早急に対策する必要があるでしょう。
しかしディオゲネス症候群の人の場合、家の片付けを拒むことも考えられます。
家が散らかっているからと言って家族が勝手に片付けを進めると、本人が嫌がったり身内間でトラブルになったりすることも。
そのため、話し合いをしながら丁寧に段階を踏んでいくようにしてください。
ごみ屋敷の片付けは専門業者への依頼がおすすめ
部屋に足の踏み場がない、ひどく汚れているといった状態の場合、片付けを自分たちでおこなうのは大変な作業になります。
特に住人が病気を抱えている場合や、精神的に弱っている状況であれば尚更で、部屋を片付けるまでに時間がかかりすぎて途中で断念してしまうケースも少なくありません。
そのため、専門の片付け業者を利用するのがおすすめです。
業者へ依頼をすれば、どれだけ汚れていてごみが多い部屋であっても、短期間でキレイにしてくれるため、住人の負担も少なくて済むでしょう。
また、害虫が発生している、水回りが機能しないくらい汚れているなどの素人では手に負えない場合も、プロの技術で掃除をしてくれるほか、脱臭や除菌もしてもらうことができます。
大量のごみの処分も一度にお願いできるため、家具や家電などの大きなごみを捨てたい人にも便利なサービスです。
このようなごみ屋敷・汚部屋の片付けは、清掃業者以外にも遺品整理業者や不用品回収業者、便利屋などでおこなっています。
多くは優良な会社ですが、なかには悪質な業者もいますので、依頼する前に以下の点にチェックしておきましょう。
- 実績のある業者を選ぶ
- 複数社見積もりを取る(料金・サービス内容の比較のため)
- 見積もり内容が明確な業者を選ぶ(わかりやすい・あとから追加料金が発生しないなど)
- 住人のみ(高齢者のみ)で業者を決めない(判断能力が落ちている可能性があるため)
- 希望するサービスがあるか確認(特殊清掃がある・買取ができる・生前整理ができるなど)
- 対応が丁寧な業者を選ぶ(質問にきちんと答えてくれるなど)
ディオゲネス症候群の治療に必要なこととは
ディオゲネス症候群はさまざまな複雑な要因が絡んでいる状況です。
はっきりとした治療法はありませんが、家族や周囲のサポートが欠かせないでしょう。
まずは住人本人の状況に合わせ、一つずつ対処していくことが大切です。
ディオゲネス症候群の人は必要な栄養や治療が足りていないことが多く、食生活の改善や病気の治療のための通院が必要になることも多いといいます。
また、家が不衛生であれば片付けや清掃も同時におこなえるとよいでしょう。
しかし、こちらが手を差し伸べても「支援を拒む」場合も考えられます。
ディオゲネス症候群に限らずごみ屋敷に住む高齢者の場合、一方的に支援者が要望を押し付けてしまうと心を閉ざし、支援ができなくなることも。
そのようなときは焦らず、少しずつ寄り添っていくことも必要なのかもしれません。
部屋の片付けは『ラクタス』へおまかせください
今回はディオゲネス症候群についてお伝えしてきました。
高齢化社会となった現代では、身近にもディオゲネス症候群に当てはまる人、なるかもしれない人がいるのではないでしょうか。
ディオゲネス症候群は特別な人がなるものではありません。
条件が揃えば誰しもがなり得るもので、自分の身にもいつか起こる可能性もあります。
もし自分の親が、兄弟が、自分がそのような状況になった場合、原因や症状、対策を知っておくことも大切なことだと言えるでしょう。
当社『ラクタス』は、ではごみ屋敷・汚部屋の清掃をはじめ、不用品の処分、引っ越し、ハウスクリーニングなど豊富なサービスをご用意しています。
「急いで部屋を片付けたい」「誰にも知られずに部屋を片付けてほしい」「貴重品を探して欲しい」など、状況に合わせて対応することが可能です。
また、業務経験豊富なスタッフが多く在籍していますので、どのような状況でも安心してご依頼いただけます。
ご相談者様の事情に寄り添って解決していきますので、まずはこちらからお見積り・ご相談ください。
2024-05-22