更新日:2023年6月19日
「家電リサイクル法」(特定家庭用機器再商品化法)は家庭や事務所から出た家電製品(4製品)をリサイクルするための法律で、2001年に施行されました。
そのため、「家電リサイクル法」の対象品目(エアコン、テレビ(ブラウン管式、液晶・プラズマ式)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)は、処分する際に必ずリサイクル料金が発生します。
例えば、電気屋で家電を買い替えるときに古い家電を引き取ってもらおうとすると「リサイクル料金がかかります」と言われたことがある人もいるかと思いますが、このお金は処分する家電をリサイクルするために使われます。
リサイクル料金は対象の家電の種類、メーカー、大きさによって異なります。
また、自治体では捨てることができず、当然粗大ごみでは捨てることができません。
しかし、意外とこの「家電リサイクル法」についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
対象品目はどうやって捨てるの?対象じゃない家電は粗大ごみで捨てることができるのか?など疑問点もあると思います。
今回は「家電リサイクル法」についての詳しい解説と、対象家電を処分する方法などについてご紹介します。
「家電リサイクル法」以外の家電の法律についても紹介しますので、チェックしてみてくださいね。
目次
家電リサイクル法について
数多くある家電の中で、家電リサイクル法の対象となっている家電は以下の4品目のみ。
- エアコン
- テレビ(ブラウン管式、液晶・プラズマ式)
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
これ以外の家電製品は、ほとんどが「小型家電リサイクル法」という別の法律の対象となっています。(小型家電リサイクル法については後ほど詳しく説明します)
家電リサイクル法の対象はなぜ4品目なのか?
2023年現在、家電リサイクル法の対象家電は「エアコン」、「テレビ(ブラウン管式、液晶・プラズマ式)」、「冷蔵庫・冷凍庫」、「洗濯機・衣類乾燥機」の4品目です。
多くの家電がある中、リサイクル法に定められた家電はなぜこの4品目なのでしょうか。
対象の家電については資源の有効利用や廃棄物の削減、社会的コストダウンなどから決められています。
具体的には以下の4つの条件を満たすものが家電リサイクル法の対象となっています。
- 家庭から排出されたごみは市区町村等が収集して処分することになっていますが、市区町村では解体処分できる設備等がほとんどないため、埋立処分される可能性が高く、リサイクルすることが困難であるもの
- 再び製品の材料に利用できる資源が比較的多く含まれており、かつ、それらを回収するのにあまりコストや手間がかからないもの
- 将来、よりコストをかけずに、かつ、より効率的にリサイクルできるよう、メーカーがリサイクルしやすい設計や部品を選択することが可能であるもの
(シンプルな構造であり、使われる原材料が限定されているなど、製品を設計する際の工夫がリサイクルに重要な影響があるもの) - 円滑な収集を行う観点より、販売店による購入者への製品の配達の際に、同種の使い終わった製品を容易に収集できるもの
リサイクルの対象家電は当初ブラウン管テレビだけでしたが、2004年に冷凍庫、2009年に薄型テレビ(液晶・プラズマ式)と衣類乾燥機が追加となっています。
そのため、条件を満たした家電が新たに家電リサイクルの対象品目となることも考えられます。
家電リサイクル法が作られた目的と背景とは?
2001年以前は家庭から出た電化製品は、ほとんどの自治体が粗大ごみとして回収していました。
回収した電化製品は、一部の金属部分を除き、埋め立て地に埋めるという処分方法だったのです。
しかし、埋め立て地はいつまでもごみを捨てることができるわけではなく、何らかの対策を取らないといけないことが課題となっていました。
そこでまだ使える資源は再利用し、ごみを減らす目的で作られたのが「家電リサイクル法」です。
また、家電の中に残る資源を有効活用することで新たな資源を守るという目的や、埋め立てや焼却などで起こる、有害な化学物質による環境負荷を防ぐという目的もあります。
回収した家電はどのようにリサイクルされるのか
家電リサイクル法によると、以下の3つがそれぞれに義務付けられています。
- 家電販売店…不要になった家電の収集・運搬
- メーカー・製造業者…家電のリサイクル
- 消費者…上記にかかる費用の支払い
つまり、家電量販店などの販売店では不要になった電化製品を引き取ってもらうことができ、回収した家電はメーカーへ引き渡され、リサイクルされることになります。
メーカーでは製品から、鉄、銅、アルミニウム、ガラス、プラスチックなどの資源をリサイクルし、 エアコンや冷蔵庫の冷媒フロンを回収・処理します。
その後、金属は新しい製品に、プラスチックはまた家電に使われるなど、資源として再利用されています。
家電リサイクル法の対象品目と具体的な料金
家電リサイクル法によって、対象の家電を処分する際にはリサイクル料金を支払うことが義務付けられました。
お伝えしたように、リサイクル料金は家電の種類、大きさ、メーカーなどによって異なります。
また、運搬を依頼する場合はリサイクル料金とは別に「収集運搬料金」も必要です。
リサイクル料金の支払いは「家電リサイクル券」によって支払うことになり、製品の引き渡しの際に「排出者控片」を受取ります。
手続き方法別の家電リサイクル券は以下のとおりです。
郵便局での申し込み用 |
小売業者での申し込み用 |
収運業者での申し込み用 |
自治体用(不法投棄処理や災害廃棄物処理用) |
画像出典:家電製品協会より
次に、各家電ごとのリサイクル料金をご紹介します。
1.エアコン
対象となるのは壁掛け形や床置き型のセパレート形、ガスヒーター形、ハイブリッドエアコン、ウィンド形エアコンなど。
ワイヤレスリモコンや室内機用の取り付け金具などの付属品、室外機も対象となります。
一方で、天井埋め込み型のエアコンや天吊型のセパレートエアコンなどは対象外となるためご注意ください。
【一緒に引き取れるもの】
- ワイヤレスリモコン(ただし電池は除く)
- 室内機用の取付金具
- 一体型の純正据付部材
- 商品同梱の工事部材
メーカー |
料金(税込) |
シャープ | 990円 |
ダイキン工業 | 990円 |
東芝ライフスタイル | 990円 |
パナソニック | 990円 |
パナソニック(三洋電機) | 990円 |
富士通ゼネラル | 990円 |
三菱電機 | 990円 |
出典:一般財団法人家電製品協会
2.テレビ(ブラウン管式)
対象となるのはブラウン管式テレビ、ブラウン管式VTR内蔵テレビ、ラジカセ一体型テレビ、ポータブルタイプ(電源として一次電池又は蓄電池を使用するもの)。
また、プロジェクションテレビやモニター、業務用は対象外です。
大小(大きさ)の区分はテレビ前面のパネル部に表示されている型番、もしくは裏面の定格表示で調べることができ、15型以下は(小)、16型以上は(大)となります。
【一緒に引き取れるもの】
- ワイヤレスリモコン(ただし電池は除く)
- 着脱式付属専用スピーカー
- 商品の付属物(電源コード、スタンドなど)
メーカー |
料金(税込) |
料金(税込) |
シャープ | 1,870円 | 2,970円 |
ソニー | 1,870円 | 2,970円 |
TVS REGZA | 1,320円 | 2,420円 |
パナソニック | 1,320円 | 2,420円 |
パナソニック(三洋電機) | 1,320円 | 2,420円 |
パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション | 1,320円 | 2,420円 |
日立グローバルライフソリューションズ | 1,870円 | 2,970円 |
富士通ゼネラル | 1,870円 | 2,970円 |
三菱電機 | 1,870円 | 2,970円 |
出典:一般財団法人家電製品協会
3.テレビ(液晶・プラズマ式)
液晶・プラズマ式テレビ、液晶・プラズマ式HDD・DVD等内蔵テレビ、チューナー分離型テレビが対象。
電源として一次電池又は蓄電池を使用する液晶式テレビや建築物に組込むことが出来るよう設計された液晶式テレビ、液晶式モニター(テレビチューナー付きも含む)、有機ELテレビや業務用などは対象外となります。
ブラウン管テレビと同じく大小区分があり、15V型以下は(小)、16V型以上は(大)となります。
【一緒に引き取れるもの】
- ワイヤレスリモコン(ただし電池は除く)
- 着脱式付属専用スピーカー
- 商品の付属物(電源コード、スタンド等)
メーカー |
料金(税込) |
料金(税込) |
シャープ | 1,870円 | 2,970円 |
ソニー | 1,870円 | 2,970円 |
TVS REGZA | 1,870円 | 2,970円 |
パナソニック | 1,870円 | 2,970円 |
パナソニック(三洋電機) | 1,870円 | 2,970円 |
パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション | 1,870円 | 2,970円 |
日立グローバルライフソリューションズ | 1,870円 | 2,970円 |
富士通ゼネラル | 2,970円 | |
三菱電機 | 1,870円 | 2,970円 |
出典:一般財団法人家電製品協会
4.冷蔵庫・冷凍庫
冷蔵庫や冷蔵冷凍庫、保冷庫・冷温庫、ワイン庫(ワインセラー)、冷凍庫(チェスト型・アップライト型・引き出し型)、ポータブル冷蔵庫などが対象です。
製氷皿、棚、野菜かごなどの付属品も引き取ってもらえます。
ただし、おしぼりクーラー・保冷米びつ・冷水機・製氷機、店舗用のショーケースや冷凍ストッカーは対象外となります。
また、業務用のものも対象外です。
大小区分があり、内容積170リットル以下は(小)、171リットル以上は(大)となります。
メーカー |
料金(税込) |
料金(税込) |
シャープ | 3,740円 | 4,730円 |
東芝ライフスタイル | 3,740円 | 4,730円 |
パナソニック | 3,740円 | 4,730円 |
パナソニック(三洋電機) | 3,740円 | 4,730円 |
日立グローバルライフソリューションズ | 3,740円 | 4,730円 |
富士通ゼネラル | 3,740円 | 4,730円 |
三菱電機 | 3,740円 | 4,730円 |
出典:一般財団法人家電製品協会
5.洗濯機・衣類乾燥機
洗濯乾燥機、全自動洗濯機、2槽式洗濯機、小型洗濯機、衣類乾燥機が対象で、商品同梱の付属品(洗濯かごなど)も引き取りが可能です。
対象外となるのは衣類乾燥機能が付いた布団乾燥機やハンガー掛け、除湿器、電動のバケツなど。
メーカー |
料金(税込) |
シャープ | 2,530円 |
東芝ライフスタイル | 2,530円 |
パナソニック | 2,530円 |
パナソニック(三洋電機) | 2,530円 |
日立グローバルライフソリューションズ | 2,530円 |
富士通ゼネラル | 2,530円 |
三菱電機 | 2,530円 |
出典:一般財団法人家電製品協会
注意点として、これらを家電量販店などに引き取ってもらう場合は運搬費用が別途かかります。
運搬費用は店舗によって異なるため、事前に確認することをおすすめします。
リサイクル家電を処分する方法3選
ここからは実際にリサイクル家電を処分する方法を4つお伝えしていきます。
1.販売店に依頼して回収してもらう
家電量販店など、製品を購入したお店や新しく製品を購入するお店では古い家電を引き取ってもらえます。
費用はリサイクル料金と運搬料金がかかりますが、運搬料金は店舗によって異なるため確認しましょう。
ただし、小売店には販売した製品以外の引き取り義務はありません。
購入したお店でない店舗へ回収を依頼する場合、断られてしまう可能性もありますので電話やホームページなどで確認してください。
2.指定引取場へ持ち込む
リサイクル家電を持ち込み、処分できる「指定引取場」へ直接持っていく方法もあります。
自分で持ち込むため運搬費用がかからず、リサイクル料金のみで処分できますが、大きな冷蔵庫や洗濯機などの場合は運搬のための車を用意する必要があるかもしれません。
また、事前に郵便局でリサイクル券を購入し、手続きをする必要があります。
郵便局へ行く前に処分する家電のメーカーや品目、大きさ(テレビや冷蔵庫の場合)を確認しておきましょう。
指定引取場は一般財団法人家電製品協会から検索することができますので、お近くの引取場を探してみてください。
ただし、多くの指定引取場は日曜日が定休日で、営業時間は9時~17時(ただし12時~13時は昼休憩)となります。
予約の必要はありませんが、指定引取場の営業時間を確認してから持ち込むようにしましょう。
3.不用品回収業者へ依頼する
不用品回収業者では、自宅までトラックなどで回収しに来てもらうことができます。
また、家電以外の家具や日用品など、さまざまなものも回収してもらえるため、家電以外も頼みたいという方にも便利な方法です。
回収費用は、運搬や処分費用などの基本料金以外にリサイクル料金がかかります。
早ければ依頼したその日に来てもらうこともでき、手間がかかりませんが他の方法よりは少し割高になるでしょう。
不用品回収業者へ依頼する場合は「一般廃棄物収集運搬業許可」と「家電リサイクル券取扱番号」の資格を持つ業者へ依頼するようにしてください。
資格を持たない業者は、市町村の委託を受けずに違法に回収している業者です。
このような無許可業者は、回収した家電を不法投棄や不適正処理をするなどの報告がされています。
ほかにも料金トラブルの原因にもなり得るため、必ず資格のある業者へ依頼するようにしましょう。
4.リサイクルショップなどに売却する
まだ使える家電であればリサイクルショップなどで買い取ってもらえる可能性があります。
リサイクルショップ以外にも家電量販店や不用品回収業者のなかにも買取を行っているところがあるため、気になるお店があれば問い合わせてみましょう。
不用品回収業者で買取ができれば、他の処分費用から差し引いてもらうこともできます。
「ラクタス」のグループ会社である「出張回収センター」でも、家電や家電以外のものでも買い取っていますので、お得に処分したいときにはおすすめです。
ただし、家電の買取は基本的に製造年数が5年以内のものとされています。
メーカーや状態などによっても変動するため、買取対象かどうか事前に確認しておくとよいでしょう。
その他の家電の処分に関する法律
「家電リサイクル法」以外の、家電の処分に関する法律をご紹介します。
小型家電リサイクル法
「小型家電リサイクル法」は、使用済みの小型家電の再資源化を促進するために、「廃棄物の適正な処理および資源の有効な利用の確保を図ることを目的」として2012年に制定された法律です。
「家電リサイクル法」の対象である4品目以外の28類型の品目が対象となっており、ケーブルや充電器なども含めてほぼすべての品目が対象となっています。
こちらも家電量販店や不用品回収業者で回収してもらうことができますが、小型家電は自治体での回収も可能となっています。
自治体での回収方法は、公共施設やスーパーなどに設置されている回収ボックスを利用したり、不燃ごみや粗大ごみとして収集してもらったりと自治体や品目によってさまざまです。
ただし、パソコンは自治体で回収しておらず、メーカーでの回収を推奨しているところがほとんどなのでご注意ください。
資源有効利用促進法
資源有効利用促進法は、「循環型社会を形成していくために必要な3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを総合的に推進する」ための法律。
特に事業者に対し3Rの取り組みが必要となる業種や製品を政令で指定し、自主的に取り組むべき内容を省令で定めています。
対象製品は10業種・69品目で、電化製品として対象になるのはテレビやエアコン、パソコンなどです。
例えば使用済みのパソコンは、資源有効利用促進法により、メーカーによる回収とリサイクルが義務づけられています。
個人でも限られた資源を有効に活用し、ごみを減らすためにもできるだけリサイクルを心掛けましょう。
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家電は上手にリサイクルしよう
ここまで「家電リサイクル法」やその他の家電についての法律をお伝えしてきました。
家電はどの家電であっても基本的にはリサイクルすることになっています。
処分するには費用や手間がかかるため、今回ご紹介した中から自分に合った方法で処分するようにしましょう。
処分費用を安く済ませるには自分で指定引取場へ持ち込む方法がおすすめですが、リサイクル法対象の4品目は大きいものも多く、自分で部屋からの搬出や車への積み降ろしを行うのは労力もかかってしまいます。
どこまで手間や費用をかけられるか、処分する家電や状況などから適した方法を見つけてくださいね。
2023-05-24