更新日:2023年6月22日
「ごみ屋敷」という言葉が広まった近年では、ごみや物だらけの家や、汚れた部屋のことを「ごみ部屋」「汚部屋」「隠れごみ屋敷」などと、さまざまな呼び名で取り上げられているのをご存じでしょうか。
これらは多少、特徴の違いがありますが、どれも生活に影響のある状態として問題となっています。
特に「隠れごみ屋敷」は若い人たちの間で急増しているとのこと。
実際、ごみ屋敷の清掃業者へ依頼する若い人が増えています。
2023年3月に環境省が発表した、過去5年間で自治体が把握している全国のごみ屋敷は5,200件にもなることがわかっていますが、これらは近隣住民からの通報によるものが9割程度。
そのため「隠れごみ屋敷」のような、「周囲にはわからないごみ屋敷」はあまり含まれていないと予想できます。
しかし、今はバレていなくても放置し続ければいつかは「ごみ屋敷」と認識されてしまうでしょう。
隣人調査サービスである『株式会社トナリスク』によると、「住んでいる集合住宅内にごみ屋敷があるかも」と疑っている人が2割近くいることがわかっています。
そもそも、「隠れごみ屋敷」とはどのような状態なのでしょうか。
また、なぜ若い人たちに増えているのか、隠れごみ屋敷の判断ポイントや背景を解説します。
目次
隠れごみ屋敷の判断ポイントとは
「隠れごみ屋敷」は「ごみ屋敷」とは何が違うのでしょうか。
大きく違うのは「周囲の人がごみ屋敷だと判断できない家」であること。
ごみ屋敷は近隣の住民など、周囲から見てすぐにごみ屋敷だと判断できることがほとんどです。
庭や窓から様子がわかりやすい一軒家に多いですが、アパートやマンションでもベランダがごみだらけというケースも当てはまります。
一方、隠れごみ屋敷は同じくアパートやマンションのような集合住宅でも、一見すると普通の家のように見えてしまうのが特徴です。
玄関の前も整然とし、ごみ屋敷であるとは全く気付きません。
しかし玄関のドアを開けると天井までごみが積み上げられていた…というケースも多いようです。
「もしかしたら自分も隠れごみ屋敷予備軍かも?」と思った方は、以下の判断ポイントをチェックしてみてください。
- お弁当のパックや開封したお菓子の袋、飲みかけのジュースなど、食べ物があちこちに散乱している
- ハエやゴキブリなどの害虫が発生している
- 出していないごみ袋が溜まっている
- 脱いだ服や出しっぱなしの本や物が床に置いたまま
- 足の踏み場がない
- トイレやお風呂の掃除を何日もしていない・カビや汚れが付いたままになっている
- 家の中が臭い
- キッチンが汚れていて使用しづらい状態
- 物を動かすと大量の埃がある
- 布団やベッドの上で食事するなど、部屋の限られた場所で1日を過ごすことが多い
これらは一部の特徴ですが、当てはまる項目が多いほどごみ屋敷であると言えます。
隠れごみ屋敷は発見されにくいですが、項目が増えるほど「もしかしたら…」と疑われているかもしれません。
隠れごみ屋敷が増える背景
ごみ屋敷の住人と言えば、高齢者に多いイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
また、ごみ屋敷になってしまうのは性格的な問題がある人、病気を抱えている人など、特殊な人がなりやすいと考える方もいるかもしれません。
しかし近年、増加傾向にある「隠れごみ屋敷」は些細なことがきっかけでごみ屋敷化してしまうケースも多く報告されています。
特に若い人たちの間で増えているとのこと。
今まではキレイに部屋を片付けていた人でも、ごみ屋敷となり得る可能性があるのです。
その背景には何があるのでしょうか。
忙しく、時間がない
若年層の隠れごみ屋敷に多く共通するのは「仕事が忙しく、片付ける時間がない」ということ。
夜勤がある方や休みが不規則な方、残業が多い方などはどうしても家のことが疎かになってしまいます。
ごみ屋敷の清掃依頼が多い職業は「看護師」「医師」「介護士」「弁護士」など、意外にも世間的に見れば「きちんとしている」イメージの方です。
普段会社や仕事場で緊張感があるせいか家ではだらしがなくなってしまうのかもしれません。
また、学生やフリーターなどの方でも夜遅くまでバイトをしている、という方は朝起きられず、ごみ出しに間に合わないごみを溜め込んでいるというケースもあります。
ごみ出しルールが厳しくなった
ここ数年、環境保全のためもあってごみ出しのルールは目まぐるしく変化しました。
一昔前は袋に入れてまとめて捨てていたものも「可燃ごみ」「不燃ごみ」「資源ごみ」など細かく分別する自治体がほとんどです。
リサイクル品目も増え、電化製品は自治体で処分できないものも増えました。
この厳しいごみ出しルールに対応できず、家にごみや物を溜め込んでいる方が増えているといいます。
また、地域によっては出したごみ袋をチェックされる、間違っていたら注意されるなど、嫌な思いをしたことがきっかけでごみを出すのが怖いという方も。
溜め込んだごみは、最初は不快に感じても段々慣れてしまい、そのうちごみ屋敷になってしまった…というケースもあるようです。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスが日本で確認されてから3年となり(2023年現在)、ようやく日常が戻りつつありますが、その影響は大きなものでした。
外出を控え、仕事や勉強を在宅で行うなど、家で過ごすことが当たり前の世の中に。
買い物や食事は宅配する機会が増え、ある調査によるとネットショッピングを週1回行う人の割合はコロナ前が19.9%だったのに対し、コロナ禍では38.7%にまで増加しています。
これには、必要にかられてネットで買い物をしている以外にも、外出できないストレスからネットショッピングが増えた、という人も含まれていると考えられます。
自宅に何でも届けてくれるのは便利なサービスですが、段ボール箱や空容器など、商品を梱包していたものが溜まり、気付けば家が物で溢れてしまったという方も。
人との接触の機会が減ったことで、周囲の人もごみ屋敷化していることに気付かないという面もあります。
精神疾患になる人の増加
日本では年々、精神科を受診する人が増えています。
厚生労働省の調査によると、精神疾患で医療機関に通院または入院している患者さんの数は、2017年(最新値)で約419万人。
これは15年前の1.6倍になります。
精神疾患の患者数が増えている原因は「精神疾患が身近になった」「病院が増えた」などの影響もありますが、ここ数年では「コロナうつ」と言われるように新型コロナウイルスによる生活の変化も大きいもの。
「友人や家族と会う機会が減った」「仕事が減ったため収入が減った」などがきっかけでうつ病などの精神疾患になり、家を片付ける気力がないことでごみ屋敷となってしまったケースもあります。
精神疾患はごみ屋敷の原因となることが多く、解決のためには専門医に見てもらうなど、早めの対応が必要です。
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周りは隠れごみ屋敷に気付いている?
冒頭でお伝えしたように、『株式会社トナリスク』による調査では「住んでいる集合住宅内にごみ屋敷があるかも」と疑っている人が2割近くいることがわかっています。
ごみ屋敷の認知度が高まったこともあって、昔よりも敏感に感じる人が増えたのではないでしょうか。
また、『株式会社AZWAY』の調査では、近所に住んでほしくない人の3位に「汚部屋に住む人」をあげています。(1位は騒音を出す人、2位は非常識な人)
やはり近隣に汚部屋やごみ屋敷があると嫌だと思っている人が多いようです。
一見すると、隠れごみ屋敷は家の外からはごみ屋敷であることにはなかなか気付けません。
しかし、ごみ屋敷となってしまったら家の外にも影響が出てくることも。
近隣の住民が「ごみ屋敷かも?」と疑うきっかけになった出来事をあげてみます。
- ゴキブリなどの害虫を玄関前で見かける
- 悪臭がする
- ベランダが物で溢れている
ゴキブリなどの害虫を玄関前で見かける
ごみ屋敷は害虫が増えるもの。
特に弁当の空き容器や飲みかけのペットボトルなど、虫が湧くような環境であればあっという間に害虫が増えていきます。
マンションやアパートなどの集合住宅では、玄関前でゴキブリがうろうろしているのを見たことがきっかけでごみ屋敷を疑った人がいました。
害虫は廊下や階段、ベランダなどの共有部分を通って侵入してくることも多く、家が違うとはいえ気になる方が多いようです。
悪臭がする
ごみ屋敷の悪臭の原因は、生ごみなどの腐敗臭、害虫・害獣の排泄物、ペットの臭いなど。
さらに雑菌やカビなども放置することで悪臭が漂いはじめます。
また、家だけでなくごみ屋敷に住む住人も臭いという意見も。
職場ではキレイな恰好をしているけど近づくとカビ臭く、実はごみ屋敷に住んでいた!なんていうケースも実際にあるのです。
臭いは住んでいる本人は慣れてしまって気付いていないこともあります。
しかし臭いは空気中にあるものなので意外と遠い場所まで臭うことも。
特に夏場は隣近所だけでなく、少し離れた場所でも臭うことがあるため注意が必要です。
ベランダが物で溢れている
隠れごみ屋敷は通常、ごみ屋敷であることに気付かれません。
特に近年は隣人についても「あまり知らない」と感じる人が多く、4人に1人は隣人の顔すら知らないという調査結果もあります。(出典:「無縁社会」に関する実態調査より)
日頃の付き合いがなければ余計に、家の中がごみ屋敷であることには気付きにくいでしょう。
近所付き合いが希薄になった世の中ですが、それでもベランダのような見えやすい場所が汚ければ目につくものです。
集合住宅では隣のベランダと塀を隔てて繋がっていることが多く、隙間から隣の様子がわかることも。
ベランダが物だらけで掃除が行き届いていないと、「家の中も汚いのでは?」「もしかしたらごみ屋敷?」と疑う人も多いようです。
隠れごみ屋敷は放置すると危険
隠れごみ屋敷のように周囲にバレていないなら大丈夫だろうと考える方もいます。
しかし、ごみ屋敷は片付けなければ状態がどんどん悪化し、自分の身体や近隣住民にも影響が出ることが予想されます。
隠れごみ屋敷を放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか。
害虫や悪臭が発生!
ごみ屋敷には害虫や悪臭が必ず発生しています。
原因となるのは生ごみだけでなく、洗濯していない服やタオルに発生する雑菌や、水回りのカビ、タバコやペットの糞尿など、さまざまなものが関係しています。
また、カーペットやラグ、布団などは皮脂や汗などが付きやすく、時間が経つほど家全体が臭くなるでしょう。
はじめは自分の家だけであっても、汚部屋の状態が長くなると隣近所にも害虫や悪臭の被害が及びます。
ごみ屋敷を疑うきっかけはゴキブリなどの害虫や悪臭によるものというケースも多く、ごみ屋敷であることがバレれば管理会社へ連絡され、苦情を受けることもあります。
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不衛生な環境による病気やアレルギーを発症
ごみ屋敷や汚部屋は当然不衛生な環境であり、空気も汚れている状態です。
埃やカビ、細菌などを含んだ空気を吸い続けることで、喘息やアレルギー性鼻炎を引き起こしたり、感染症になったりするおそれも。
ダニやノミも発生するため、皮膚炎になることも考えられます。
また、ゴキブリやハエなどの害虫は病原菌を運ぶ媒介者でもあります。
大腸菌やO-157など、激しい腹痛や水溶性の下痢などを引き起こすものを媒介し、高齢者や子どもは重症化しやすいと言われています。
火災のリスクが上がる
ごみ屋敷は物やごみなどの可燃物が多いため、少しの火が大きな火災へと繋がります。
例えば蚊取り線香やストーブ、タバコの火などから燃え広がり、あっという間にすべてが燃えつくされることも。
また、埃がコンセントに溜まり、火災となるトラッキング現象も起こりやすくなります。
近隣住民の人がごみ屋敷で心配していることの一つも火災で、自分の家にも燃え移るのではないかと不安に感じる人が多いようです。
隠れごみ屋敷を片付けるステップ
「うちはごみ屋敷かもしれない」
「自分はごみ屋敷予備軍だ」
そう思ったら、早めに部屋の片付けを行いましょう。
ごみ屋敷は放置しているとどんどん悪化するため、早めの対処をおすすめします。
ごみ屋敷を片付ける方法は次のステップです。
- ごみを「必要・不要」に分別する
- 「不要」なものを処分
- 「必要」なものを定位置にしまう
1.ごみを「必要・不要」に分別する
まずは家の中のものを「必要・不要」に分けていきます。
空のペットボトルや空き缶など、明らかにごみだとわかるものはごみ袋にどんどん入れていき、迷うものは「保管箱」を作って一旦保留にするとよいでしょう。
ただし、保留のものは後日見直しをするようにします。
2.「不要」なものを処分
不要さと判断したものはそれぞれごみの分別をし、自治体のルールに従って処分します。
分別が難しい、家電や家具などの粗大ごみがあるという場合は、不用品回収業者を利用するとまとめて引き取りに来てもらえるため便利です。
手放すのが惜しい、迷うと思ったものは一旦保管して、別日に考え直すか、フリマアプリやリサイクルショップなどを利用して売却するなど、手放しやすい方法を考えましょう。
売れるものは、まだ使えるもの・キレイなものなど条件もありますが、捨てるよりは罪悪感なく手放すことができます。
3.「必要」なものを定位置にしまう
すぐに部屋が散らかってしまう、という人は、大抵物の定位置が決まっていません。
どこにしまうか決まっていない人は、使う頻度に合わせて収納場所を決めるようにしましょう。
使用頻度が高いものほど手に届きやすい位置や、すぐ取り出せる場所にしまうようにします。
自分で対処できないごみ屋敷には…
ごみ屋敷を一人で片付けるには時間と労力、根気も必要です。
どうしても自分では手に負えないと感じたら、プロの清掃業者を利用するのも一つの方法です。
通常、ごみ屋敷を片付けるにはごみの分別、ごみ捨て場までの運搬、害虫の駆除やカビなどの汚れの除去など、当然1日では終わらないこともあります。
仕事や家事などの合間に行えば、何週間、何カ月もかかってしまうことも。
そんな手間や時間がかかる片付けもごみ屋敷の清掃業者に頼めばすぐに終わらせることができます。
また、清掃業者はプロなので、自力では除去できない染みついた汚れや臭いもすべて取り除いてもらえるのも魅力。
どんなにひどい状態であっても、安心してお任せできるでしょう。
当社「ラクタス」は名古屋でNo.1の実績を持つ、全国対応のごみ屋敷片付け業者です。
LINEやメールからも相談・無料見積もりができますのでお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
今回は、近増加傾向にある隠れごみ屋敷についてご紹介しました。
ごみ屋敷は放置することで状態が悪化し、日にちが経つほど自分での片付けが困難になります。
害虫・悪臭の発生や火災のリスクなど、自分だけでなく近隣住民への影響も大きくなるでしょう。
「うちはごみ屋敷だと思う」「いつかは片付けようと思っている」と感じた方は、早めに対処することをおすすめします。
部屋を片付けてスッキリさせ、新しい生活を始めましょう。
2023-06-02