更新日:2024年6月5日
今やほとんどの人が知る「ごみ屋敷」という言葉。
ごみ屋敷とは、その名のとおり「ごみが積まれ放置された土地、または家」のことを言います。
環境省では2018年から全国のごみ屋敷について、認知件数などの状況を把握するための調査をおこなってきましたが、年々増加傾向にあることがわかっています。
ごみ屋敷は住人本人だけの問題ではなく、近隣に住む人や住人の家族など周囲への影響も大きいため、ごみ屋敷が増加すれば関心を寄せる人も増えるでしょう。
私たち「ラクタス」は、ごみ屋敷や汚部屋の片付けを中心とした清掃サービスをおこなう会社です。
ごみ屋敷の清掃経験が豊富だからこそわかる、ごみ屋敷になってしまう背景や複雑な問題についても熟知しています。
そこで今回の記事は「ごみ屋敷」について、家の状況や住人の特徴、放置することで起きるデメリットといった基本的な疑問についてまとめています。
この記事を読んでごみ屋敷への理解を深め、解決の参考になれば幸いです。
目次
ごみ屋敷とは?
ごみ屋敷とはどこからがごみ屋敷で、どうなったらごみ屋敷と呼べるのか、そう疑問に思う方もいるかもしれませんね。
実はごみ屋敷には明確な定義がありません。
ここではごみ屋敷とはどんな状態なのか、詳しく解説していきます。
ごみ屋敷の状態
環境省によるごみ屋敷の「調査報告書」によると、ごみ屋敷とは以下のような状態のことを言います。
ごみなどが屋内や屋外に積まれることにより、悪臭や害虫の発生、崩落や火災等の危険が生じている状態 |
一般的には、「足の踏み場がないほど散らかった状態が何日も続いている」や「掃除や片付けができておらず悪臭や害虫などの発生がある」という状況であればごみ屋敷と呼べるでしょう。
ごみ屋敷の中の様子
ごみ屋敷には物が溢れており、ごみやそうでないものが放置された状態です。
大半は衣類、段ボール箱や書籍などの紙類、使っていない趣味のものや家具・家電などが溜まっています。
ほかに食事したあとの空き容器や食べ残し、飲みかけのペットボトルといった生ごみも多く、これらは害虫や悪臭の原因となるでしょう。
ごみ屋敷のレベルが進むと害虫や生ごみに集まったネズミや、カビによって腐食した床や壁なども見かけることがあります。
ときには水回りが使用できなくなった住人の、尿の入ったペットボトルやビニール袋が置かれていることもごみ屋敷ならではの光景です。
ごみ屋敷に対する法律はある?
ここまで見てわかるとおり、ごみ屋敷は害虫や悪臭を発生しており、崩落や火災の危険性があるとされています。
これだけ聞くと「ごみ屋敷は違法なのでは?」「周囲に通報されたら住人が捕まるのでは」と考える人もいるでしょう。
しかし2024年現在、ごみ屋敷に関する法律は存在していません。
法律で取り締まっていないからこそ、ごみ屋敷の問題が長期化したり、複雑化したりすると考えられます。
ごみ屋敷に対する条例が続々と制定
法律上、ごみ屋敷を取り締まることはできませんが、だからといって何もできないというわけではありません。
ごみ屋敷が認知される最も多い理由は「市民からの通報」であり、市や国が何も対応しなければごみ屋敷の住人と近隣住民との間にトラブルが起きることも予想されます。
そのような事態を避けるためにも自治体が制定したのが「ごみ屋敷条例」です。
初めて制定されたのは2009年4月1日に施行された東京都荒川区の「荒川区良好な生活環境の確保に関する条例」。
条例内では「良好な生活環境の確保のため」とし、廃棄物の放置やそれによって生じる害虫やネズミの発生、火災発生や通行の妨げといった周囲住民への被害のある状態を対象に、対策について定められています。
現在ではごみ屋敷条例を制定する自治体が増えており、市や区の担当者へ相談すると条例に従って「調査」や「指導」「命令」、場合によっては強制的にごみを撤去することのできる「行政代執行」などをおこなうことがあります。
・ごみ屋敷条例についての関連記事はこちら
ごみ屋敷にもレベルがある!5段階ごとに解説
ごみ屋敷にははっきりした定義がないため、自分の部屋がひどく散らかっていると「うちはごみ屋敷なの?」と疑問に思うこともあるかもしれません。
最近では「汚部屋」つまり「汚れた状態にある部屋」という言葉も流行し、どこまでが汚部屋でどこからがごみ屋敷で…といった区別もつきにくいでしょう。
汚部屋やごみ屋敷はどちらも部屋にごみや物が溜まっており、汚れた状態です。
しかし細かく見ていくとちょっとした違いがあり、ごみ屋敷も状態によって5段階のレベルに分けることができます。
具体的には次のようになりますので、自分や家族、友人の家と比べてみてみましょう。
ごみ屋敷と汚部屋の違いはどこ?
一般的に汚部屋は「汚れた状態の部屋」と言われるように、掃除ができておらず埃や汚れが溜まった状態だと考えられています。
また、物が元の場所に片付けられずに散乱しており、床や机に衣類や化粧品、本や食器などが置きっぱなしということもあるでしょう。
ごみ屋敷との大きな違いは、「部屋」か「家全体」かという範囲の違いや、近隣住民にも被害があるかどうかといった周辺への影響、住人本人が生活が困難になっているかといったことです。
また、物やごみが散乱していても、短時間で片付けができる状態であれば「汚部屋」だと考える人もいます。
とは言え、「ごみ屋敷」「汚部屋」のどちらにも明確な定義はないため、はっきりとした境界線はないと言えるでしょう。
汚れている範囲 | 周囲への影響 | 生活の様子 | |
汚部屋 | 部屋のみが多い | 近隣住民は汚部屋に気付いていないことが多い | 水回りが使えるため、それほど困難な状態ではない |
ごみ屋敷 | 何部屋、家全体 | 近隣住民に知られていることが多い | 水回りが使えなくなっており、生活が困難 |
ごみ屋敷のレベル5段階
ごみ屋敷はごみの量や汚れ具合で、次の5段階に分けることができます。
ごみ屋敷のレベル | ごみの量や内容 | 部屋の状況 |
レベル1 | ・床の半分くらいに物が散乱している ・洋服や弁当の空き容器、空のペットボトルなどすぐ片付けができるものが多い |
・散らかってはいるものの頑固な汚れは少ない |
レベル2 | ・床だけではなく机の上やベッドの上にも物が散乱している ・レベル1であるごみに加え、段ボール箱のような大型ごみもある |
・散らかっているうえに埃が溜まっている状態 |
レベル3 | ・足の踏み場がないくらいのごみや物が散乱し、場所によってはひざ下くらいの量が溜まっている ・レベル1.2の両方のごみがあり、あらゆるものが散乱している |
・物が多く、どこに何があるか把握できない状態 |
レベル4 | ・ごみや物が多く、場所によってはひざ上くらいにまで積み上げられている ・生ごみから大型ごみまで、あらゆるものが散乱しており把握が困難 |
・ゴキブリやハエなどの害虫やネズミが発生している ・カビや頑固な汚れがある |
レベル5 | ・家の中だけではなく玄関や屋外にもごみや物がある ・生ごみから大型ごみまで、あらゆるものが散乱しており把握が困難 |
・ゴキブリやハエなどの害虫やネズミが大量に発生している ・カビや頑固な汚れがある ・大量のごみや物によって窓が開かない、床がきしむなど家屋にも影響がある |
・ごみ屋敷のレベルについて詳しくはこちら
ごみ屋敷になってしまう原因
ごみ屋敷の原因はさまざまです。
その人や状況によって複雑な問題が合わさり、その結果ごみ屋敷となってしまいます。
原因が複数あることもあれば、はっきりとはわからないということも。
しかし、原因がわかれば対策もしやすいため、以下のことを身近な人や自分に照らし合わせてみると問題点が見つかるかもしれません。
原因①多忙
若い人や働き盛りの30代~40代に多いのが「多忙」が原因のごみ屋敷です。
「仕事が忙しい」「激務で疲れている」という、誰もが身近に感じるような理由でも、人によってはごみ屋敷にまで発展してしまいます。
例えば夜勤や残業が多く、不規則な生活になりがちな職業の人は朝決められた時間にごみ出しが出来ず、ごみが溜まっていくうちにごみ屋敷になることがあります。
具体的には医療関係者や教師、トラックドライバーやナイトワークに就いている人など。
ほかにシングルマザーの方も、仕事や育児に追われているうちに部屋が片付けられず、ごみ屋敷になってしまったケースがあるようです。
原因②精神疾患によるもの
精神疾患はよく「心の病気」とも言われますが、気分の落ち込みや幻覚・妄想など心身にさまざまな影響が出る疾患の事を言います。
脳内の神経伝達物質の乱れによって起こるとされており、厚生労働省の調査(平成29年度時点)によると日本では約30人に一人がかかる身近な病気です。
また発症する人の7割が25歳以下と、若い人たちに多いのも問題視されています。
よく知られているのは、うつ病や双極性障害(躁うつ病)、統合失調症などですが、どの疾患も働くことや日常生活が困難になるでしょう。
例えば「統合失調症」は妄想・幻覚が出るといった症状が代表的ですが、同じことを集中して持続できないことや、同時に複数のことができないといった特徴もあります。
そのため、掃除や片付けをしなくてはと思っても計画通りに実行できず、ごみを捨てることもままならないということも。
また、被害妄想が出ていると「捨てたごみの中を見られるかも」「ごみを捨てるところを監視されているのでは」という不安が大きいため、ごみを捨てられないということもあるでしょう。
精神疾患の原因は主に「ストレス」や「遺伝性のもの」「脳や内臓の疾患」などがあげられていますが、はっきりとした原因は判明していません。
しかし、精神科や診療内科といった専門の医療機関で治療をおこなえるため、疑いがある場合は一度診てもらうのをおすすめします。
ごみ屋敷と関わりが深いとされる精神疾患は以下のとおりです。
- うつ病
- 統合失調症
- 認知症
- セルフネグレクト
- 溜め込み症(ホーディング障害)
- 強迫性障害
- 買い物依存症
・ごみ屋敷と精神疾患について詳しい記事はこちら
原因③発達障害によるもの
発達障害は精神疾患と似ていると考える方もいますが、精神疾患とは全く別のものです。
生まれつき脳の発達が通常と違っているために得意なこと・苦手なことの差が大きく現れ、生活に支障をきたしているのが発達障害の特徴です。
- 精神疾患…ストレスや持病、生活環境などから発症する疾患(病気)
- 発達障害…先天性(生まれつき)の脳の障害
精神疾患は病気ですので、専門医による治療が必要になります。
一方で発達障害も専門の医療機関への通院は必要ですが、治療ではなく障害の困難さを軽減し、特性を活かすことが目的です。
しかし発達障害を持つ人のなかには二次障害として精神疾患を患っていることもあるため、その場合は治療がおこなわれるでしょう。
発達障害を持つ人のなかには「片付けられない」と悩む人が多いですが、それは障害による特性が関係しているものと考えられます。
例えばADHDの人は「注意欠陥・多動性障害」とも言われており、「落ち着きがない」「集中力が続かない」ことで、整理整頓ができなかったり最後まで掃除ができなかったりして部屋が散らかる傾向にあります。
このように片付けが上手くできないのは発達障害によるものだと理解している人もいれば、発達障害だと気付いていない人、専門機関を受診したけど診断をされない、いわゆるグレーゾーンの人も多くいるでしょう。
ごみ屋敷と関連のある発達障害は以下のとおりです。
- ADHD(注意欠陥・多動性障害)
- ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群を含む - LD(学習障害)
・こちらの記事もおすすめです。
原因④高齢化
高齢によるごみ屋敷化の事例は多くあります。
誰もが年を取るにつれて感じる身体の不自由さや、認知機能の低下。
そのような「衰え」によって部屋が片付けられないことや、ごみを捨てられないことが原因で、ごみ屋敷となるのです。
さらにごみ屋敷に住む高齢者に多いのが「一人暮らし」であるということ。
近年は少子化や核家族化など、さまざまな理由によって高齢者の独居率が高くなっています。
令和4年の内閣府の調査によると、65歳以上で一人暮らしをする人の数は男女とも増加しており、2007年から2019年の間で高齢者世帯の独居率が15.7%から27%に上昇しています。
高齢者が一人暮らしになると周りに助けを求める人がいないことや、状況を把握できる人がいないことも部屋が散らかる原因ですが、住人本人が強い孤独感を感じることでモノを溜め込んでしまうこともあるでしょう。
人は寂しさや孤独を感じると物を集める傾向にあり、これが行き過ぎてしまうと「溜め込み症」という疾患へ発展することもあります。
ほかにも認知症を発症し、物を溜め込んでしまったり、ごみを拾ってきたりするケースもあり、高齢者による溜め込み行動の原因は一つではありません。
そもそも高齢者のなかには貧しい子ども時代を過ごしたことなどから「もったいない精神」が強い人もいて、ごみを捨てたがらない人が多いもの。
「まだ使える」「何かで必要になるかも」と不要なものを溜め込み、周囲が掃除しようとしても拒否されることもあります。
しかし高齢者がごみ屋敷で生活をすると病気を発症したり、ごみや物につまづいて転倒したりとリスクが大きく、孤独死になる可能性もあるため注意しなければなりません。
ごみ屋敷に住む人の特徴
ごみ屋敷の原因はさまざまですが、住人にはいくつか共通する特徴がみられることも多いものです。
その特徴として、住人本人の育った環境や生まれ持った性格が大きく関係していることもあります。
ここではごみ屋敷になってしまう人の特徴をご紹介します。
特徴①物が捨てられない人
ごみ屋敷になるまで物が溢れてしまう人のほとんどは、物が捨てられないという特徴があります。
物を捨てられないと必要・不要に関係なく物が溜まり、片付けが困難になるため散らかった状態になってしまうというわけです。
なぜ物が捨てられないのかは以下のような心理状態が関係しています。
- もったいない精神が強い
- 物への執着が強い
- 判断能力が低い・優柔不断
ごみ屋敷の原因の一つである「高齢化」のところでも説明したとおり、「もったいない精神」を持つ人は物を捨てることができません。
たとえ今は使っていないものだとしても「高かったから」「思い出があるから」「また使うかもしれないから」などの理由によって、手放すことが惜しいと考えてしまうのです。
このような人は「モノへの執着が強い」こともあります。
物があることが心地良いと思っているため、家中が散らかっていてもあまり気にしないという人もいます。
また、捨てる決断をしたとしても何を手放すかの判断ができず、あまり捨てられないということも。
周りから見たらただのごみだとしても、「本当に捨てて後悔しないか」と不安になり、結局物を溜め込んでしまうのです。
特徴②物を片付けない環境で育った人
ごみ屋敷の住人の中には「自分もごみ屋敷で育った」という人がいます。
小さな頃からごみ屋敷で生活することによってそれが当たり前となり、散らかった部屋や汚れた部屋で生活することに違和感を感じなくなるのです。
長い間ごみ屋敷での生活をすることによって物がないと不安になることや、落ち着かないといった心理状態になることもあるでしょう。
また、片付ける意思はあるけど片付け方や掃除方法がわからないという人もいます。
誰か一緒に同居してくれる人や身近な人がいれば指摘してくれるかもしれませんが、ごみ屋敷で育った人が一人暮らしだと片付けがうまくできず、高い確率でごみ屋敷となってしまうのです。
特徴③ストレスを溜めている人
ストレスを溜め込み過ぎると心身に悪影響を及ぼします。
長い期間ストレスを感じ続けることでイライラしたりめまいを感じたり、不眠症や食欲不振、うつ病や自律神経失調症を引き起こすこともあります。
これらは単に体調不良が起きるだけではなく、ごみ屋敷へと発展することがあるため注意しなければなりません。
例えばショックな出来事や不安に思うこと、気がかりなことがあると何も手につかないという経験はありませんか?
ストレスが溜まると何をするにもやる気が起きず、部屋の片付けや掃除ができなくなるということも。
このように気力がなくなってしまう状態であれば強いストレスを感じているサインかもしれません。
また、ストレスを抱えている人の中には、それを解消するために普段取らないような行動に出ることもあります。
例えば「過剰に買い物をする」「お酒を飲み過ぎる」などです。
どれもストレス解消のために「適度に」おこなっていれば問題はありませんが、生活に支障が出るほど依存してしまうとごみ屋敷の原因になり得ます。
特徴④潔癖症の人
潔癖症とは、汚れを必要以上に気にしてしまう症状のことです。
潔癖症と聞くとごみ屋敷とは無縁だと思われがちですが、実は潔癖症であるせいでごみ屋敷化するケースもあります。
そもそも潔癖症は「キレイ好き」とは違うものです。
キレイ好きな人は「目に見えるもの」を気にしますが、潔癖症の人は「目に見えないもの」を気にするという特徴があります。
なかには「汚れているかもしれない」という強迫観念にさらされることで、汚れを落とそうとする行為をひたすら繰り返すことも。
このように過剰に汚いものへの恐怖心を抱いているのが潔癖症と言えます。
潔癖症の人は「エレベーターのボタンが押せない」「自宅以外のトイレを使えない」といった行動をよく耳にします。
しかし重度の潔癖症になると、例え自宅であっても「汚い箇所」を掃除することができず、自分が出したごみさえも触れなくなります。
このような人は、強迫神経症の一つである「汚染恐怖症」である可能性もあり、汚染を恐れるあまり家事ができなくなるケースも。
汚染恐怖症は適切な治療をおこなえば回復が期待できるため、専門の医療機関を受診するのが望ましいでしょう。
【注意】ごみ屋敷になりやすい人
ごみ屋敷は特別な人だけの問題ではありません。
条件が揃えば誰にでもごみ屋敷を作り出してしまう可能性はあると言えます。
しかし、その中でも特にごみ屋敷を作り出してしまう可能性が高い人は、以下のような心理状態や性格の持ち主であることが多く、当てはまる人は注意が必要です。
1.自分に自信がない人
まず、自分に自信がない人は買い物依存になりやすい傾向にあります。
コンプレックスを抱えている人は流行りのものやブランド品を買い、羨ましがられることで満足感を得ることもあり、買い物ばかりしてしまうというわけです。
買い物が多いということは家にモノが増えやすいということ。
しかし、自分に自信がない人は自分を大事に扱えない人が多く、掃除やごみ捨てを疎かにしてしまいがちです。
そのため、モノが溜まっていっても片付けず、気付いたらごみ屋敷ということになってしまいます。
2.プライドが高い人
プライドが高い人は、自分の部屋が散らかっていてもなかなか人に頼むことができません。
「これくらい自分でやれる」と思ってはいるものの、自分ではできず、「いつかやろう」という気持ちだけで毎日が過ぎてしまいます。
しかし、誰かが手を差し伸べたとしても「自分でやろうと思っていた」と言い、断ってしまうケースもあるため、解決が難しいでしょう。
3.人に迷惑をかけたくないという意識が強い人
人に迷惑をかけてはいけないという気持ちが強いことで、助けを求められない人もいます。
本来ならば自分が困っているときに助けを求めるのは当たり前のことですが、それが申し訳ないと思うせいで、誰にも言えずにごみ屋敷が進行してしまうのです。
これは真面目な人に特に多く、「これくらいは自分でやらなくては」と思い込んでいることもあります。
また、元々人に何かを頼むことに気兼ねしたり遠慮したりする性格の人も、なかなか助けを求められないでしょう。
4.自分中心の人
人に迷惑をかけたくないという気持ちとは反対に、自分さえよければいいという考えの人も要注意です。
ごみ屋敷に住む人の中には、「自分の家なんだから散らかっていてもいいだろう」と考える人が少なくありません。
しかし、ごみ屋敷は住人だけの問題ではなく、近隣住民や離れて暮らす家族にも迷惑がかかることがあります。
害虫や悪臭はもちろん、通行の妨げになったり火災のリスクが上がったりするため、周囲で暮らす人にとっては迷惑となるでしょう。
住人は、ごみ屋敷はあらゆるところに悪影響が及ぶということを考える必要があります。
ごみ屋敷を放置すると起こるデメリットとは
ごみ屋敷には段階があるとお伝えしましたが、たとえレベルが1のごみ屋敷であったとしても、片付けをおこなわなければ段階は上がっていきます。
ごみ屋敷を放置するとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
デメリット1.害虫が発生する
ごみ屋敷にはほとんどと言っていいほど害虫が発生しています。
その多くはハエ、ゴキブリですが、ほかにもクモ、ダニ、チャタテムシ、ヒメカツオブシムシなど、数多くの害虫が潜んでいることが考えられるでしょう。
その原因としてまず挙げられるのが「生ごみ」の多さです。
ごみ屋敷で生活をする人の多くはコンビニやスーパーで買ってきた弁当やカップラーメンを食べ、そのまま放置しています。
また、自炊をしていても片付けをしないため、食品や食べたあとの生ごみが置いたままになっているでしょう。
そこへハエが湧き、生ごみを目当てにゴキブリがやってきます。
ほかにも置いたままの衣類や敷きっぱなしの布団、段ボールなどにもダニやチャタテムシ、ヒメカツオブシムシといった害虫が発生し、駆除しなければ繁殖を繰り返していきます。
ごみ屋敷は湿気が多く、害虫の餌となるごみや物、隠れる場所もあるため害虫にとっては最適な住処と言えるでしょう。
害虫の恐ろしいところは皮膚や呼吸器官のアレルギーや、喘息を引き起こすことはもちろんですが、害虫が媒介する病原菌の多さです。
例えばゴキブリは全身に雑菌をまとった状態で、家の中をうろつくことによって病原菌をばらまきますが、その数は「サルモネラ菌」「ピロリ菌」「O‐157」「赤痢菌」など50種類以上と言われています。
ゴキブリが触れたものを口にすることで感染し、発症すると高熱やひどい腹痛、下痢などの症状が出ることや、他の疾患にかかる可能性もあるため注意しなくてはなりません。
デメリット2.悪臭が発生
悪臭も、ほとんどのごみ屋敷で発生しています。
なかには玄関のドアを開けた途端にむせてしまうほどの悪臭であることも。
臭いの原因は一つではなく、さまざまな臭いが混ざり合って強い悪臭となっています。
その原因とは次のようなものが考えられます。
- 生ごみの腐敗臭
- 雑菌
- カビ
- 害虫や害獣の死骸
- ペットの臭い
- 排水口
食品が腐ると腐敗臭が出ますが、その生ごみに雑菌やカビが繁殖することで腐敗臭と混ざり悪臭になります。
ごみ屋敷では衣類や布団、布製のソファなどにも雑菌やカビが付着しており、家全体が生乾き臭のような悪臭を放つでしょう。
雑菌は排水口でも発生しやすく、髪の毛や石鹸カス、垢などと混ざるとどぶ臭くなります。
排水口はキッチンや浴室など家の中の水を排水する穴なので、雑菌が繁殖するとぬめりや悪臭の原因となるだけではなく、下水道から害虫が侵入し、大量発生となることもあるかもしれません。
また、ゴキブリやネズミといった害虫、害獣は家の中で糞尿を落とし、これらも悪臭の原因となります。
もしこれらを駆除しても、死骸を放置していればそこに新たな害虫が湧き、悪臭が発生するでしょう。
犬や猫といったペットを飼っている場合は、糞尿の掃除やペットのシャワーを怠ることも悪臭の原因となり、周囲にも影響が出るほど強い刺激臭となります。
デメリット3.火災が起きやすい
ごみ屋敷は火災が起きやすいというのをご存じでしょうか。
ここ数年の間でもごみ屋敷による火災がニュースになっており、一般的な家よりも火災のリスクが高いと言われています。
その理由は以下のことが考えられます。
- 可燃物が多く、小さな火種が火災へと発展しやすい
- 埃が多く、トラッキング現象が起きやすい
- ごみ屋敷だと放火されやすい
住宅火災の原因の多くは「火の不始末」です。
蚊取り線香やストーブ、たばこの火など、消し忘れて周囲に燃え移ることによって火災へと発展してしまいます。
もし火の消し忘れがあっても周囲に燃え広がらなければボヤ騒ぎで済むかもしれません。
しかしごみ屋敷のようにたくさんの物やごみが溢れていれば、あっという間に部屋全体に燃え広がるでしょう。
そもそもごみ屋敷では長い期間掃除をしていないため、あちこちに埃が溜まった状態です。
当然家具や家電の裏にも埃が溜まっており、そこにはコンセントや配線があります。
ごみ屋敷は湿気が多く、この埃が湿気を吸うと電気が通りやすい状態になるため、漏電すると埃に引火します。
この現象をトラッキング現象と言い、ごみ屋敷だけではなく普段コンセントの周りの掃除をしない家では起こる可能性があるでしょう。
また、火の不始末以外に多い火災の原因は「放火」によるもの。
消防庁によると、火災の出火原因で火の不始末以外で多いのが「放火」とのことです。
放火というとニュースで聞くくらいと考える人も多いかもしれませんが、ごみ屋敷にとっては身近な存在となります。
放火犯が狙うのは「燃えやすそうな家」「家の周りに可燃物が置いてある」など、ごみ屋敷の特徴とも一致しており、玄関や庭などにごみや段ボールを置いている場合も注意が必要です。
デメリット4.浴室やトイレなど、水回りの使用ができなくなる
ごみ屋敷のレベルが進むと部屋の中に物の置き場所が無くなるため、玄関や廊下、トイレや浴室にも物が溢れていることが多くなります。
トイレや浴室に物やごみが多いと使用しづらくなるだけではなく、掃除をしないことによって汚れや悪臭がひどくなり、使用しなくなったというケースも。
生活するうえで入浴や用を足す行為は欠かせないため、トイレは公園やコンビニに行くことや、体はキッチンで洗うという人もいます。
なかにはペットボトルやビニール袋で用を足すという人もおり、そういう場合は部屋に溜まっていくためひどい悪臭がするでしょう。
また、体を洗う回数が減ることも体臭の原因となるほか、健康的にも悪影響が出るかもしれません。
デメリット5.健康被害が出る
ここまで読んでわかるとおり、ごみ屋敷での生活は健康的に良いとは言えません。
不衛生な生活はもちろんですが、ごみや物が溢れることで寝る場所の確保ができないことや、入浴やトイレが困難になることで不健康な生活になります。
入浴していないと免疫機能が低下するため、病気にもかかりやすくなるでしょう。
ごみ屋敷に住んでいる人の中には、ベッドにもごみが溜まっているせいで座って寝ていることや、キッチンや玄関などのわずかなスペースで1日を過ごす人もいます。
こうした生活では身体を丸めて過ごすことも多く、十分な休息が取れていないため、常に疲労感を感じるかもしれません。
そもそも、散らかった部屋で過ごすということは常に脳への刺激があるため、気持ちが落ち着かずにイライラしやすいとも言われています。
また、ダニやホコリによるアレルギーや呼吸器官の病気にかかる可能性もありますし、害虫によって皮膚のトラブルや食中毒に悩まされることもあります。
ごみ屋敷で生活している人は「常に身体が痒い」「くしゃみや鼻水が出る」といった症状のある人も多く、原因も一つではないでしょう。
ごみ屋敷での生活は身体、心の両方に悪影響があると言えます。
デメリット6.周辺住民からクレームやトラブルの可能性
ごみ屋敷であることが周囲にわかれば、近隣住民は良い顔をしないでしょう。
ごみ屋敷にはさまざまなデメリットがありますが、害虫や悪臭の発生や、火災のリスクが高いことなどは住人だけではなく周囲への影響が大きいため、隣家や近くに住む人にとっては迷惑でしかありません。
そのため、直接クレームが来たり、嫌がらせを受けたりするケースもあるようです。
もし住んでいる家がアパートやマンションなどの集合住宅であれば、管理会社から注意を受けることもあるでしょう。
場合によっては退去するよう言われることもあるかもしれません。
近年では「ごみ屋敷条例」を定めている自治体が増えており、条例のある自治体では住民の通報で担当部署が動くことになります。
そうなると何度も自宅まで調査が入り、周囲にごみ屋敷だということが知れ渡れば、より住みにくさを感じることになるでしょう。
ごみ屋敷になってしまった!「状況別」解決策とは
ごみ屋敷を放置するということはとても危険な行為になります
火災や害虫・悪臭の発生といった家屋へのリスクや、住人が抱える問題の悪化、周囲とのトラブルなど、問題点がとても多いのです。
しかし、部屋を片付けようと思っても、どこから手をつけてよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
また、実家や子どもが住む家など、自分ではなく家族のごみ屋敷に悩む人もいます。
状況によって最適な解決の仕方が違うため、自身に合った方法を見つけてみてください。
片付けの前に!確認しておくとよいこと
まずはごみ屋敷の状況を整理しておきましょう。
住人に片付ける意思があるのかや、片付けにどれくらい時間を費やせるかなど、状況に合わせて対処方法が変わります。
また、住人に「精神疾患」や「発達障害」の疑いがある場合は、医療機関へ受診をするのがおすすめです。
ごみ屋敷のレベルで自力か業者かを選択する
始めにお伝えしておくと、ごみ屋敷の片付けは簡単ではありません。
ごみ屋敷の片付けは通常の掃除とは違い、労力や手間、時間をかなり必要とします。
それだけではなく、ひどい汚れや悪臭の中での作業や、害虫駆除をおこなわなければならないこともあり、精神的にも負担が大きいでしょう。
とは言え、「業者に依頼すれば費用がかかるし…」「業者で見積もりを取ったらあまりにも高額だった」などの理由で、自力で掃除しようと決意する人もいます。
しかしむやみやたらに片付けをしても、あとから「こんなはずじゃなかった」と後悔するかもしれません。
どこまでが自力で片付けができるレベルなのかや注意点を知ることで、自力か業者のどちらを選択すればよいのか見極めることができるでしょう。
自力で片付けができる判断基準は以下のとおりです。
- ごみ屋敷のレベルが2以下である
- ごみ屋敷、汚部屋の範囲が3DK以内である
- 水回りにごみがなく、水を使うことができる
- 害虫が大量に発生していない
- 最低限の生活環境を保てている
これに当てはまらないことが一つでもあれば、自力での清掃はかなり困難になります。
また、水が使用できない、害虫が大量発生している、生活環境が保てていないなどは緊急性が高く、業者に依頼して早急に解決してもらうのがよいでしょう。
このほかにも体調が優れない人や、片付けに使える時間が取れない人は、ごみ屋敷のレベルが低かったとしても業者への依頼がおすすめです。
自力で片付けをする場合
自力で片付けをすることを選択した場合、手順や必要なものを確認してからおこないましょう。
また、自力で片付ければお金がかからないというわけではなく、粗大ごみや家電を処分するのであれば費用が発生します。
業者よりは安く済むかもしれませんが、数万円程度はかかるかもしれないと考えておきましょう。
【必要なもの】
- 自治体の指定ごみ袋(可燃・不燃・資源など)
- マスク
- 軍手やゴム手袋
- 殺虫剤
- 洗剤(カビや汚れを落とすため)
- ガムテープや紐など(ごみをまとめるもの)
- 段ボール(保管するものを一時的に入れるため)
【片付け手順】
- 作業スケジュールを決める
・手伝ってくれる人を集め、日程を決める
・一気に終わらせようとせず、何日かに分けてスケジュールを組む
・ごみ出しの日に合わせておこなう
・粗大ごみや資源ごみなど自治体での回収日を確認しておく - 物・ごみの仕分けをする
・ごみを集める
・捨てるもの・残すものを仕分ける
・捨てるものは捨て方によって分別する
・ごみを処分 - 清掃
・埃や汚れを取り除く
・水拭きや除菌をおこなう
・残すものを収納していく
【注意点】
- 自治体によっては一度に大量のごみ袋を出すことができないため事前に確認する
(例:一度に出せるごみ袋は3袋など) - 粗大ごみの回収は月に1回程度で事前申し込みが必要
- 掃除道具やごみ処理手数料などの費用がかかる
- ごみを運ぶ手段(人力か車)を想定しておくとよい
業者へ依頼する場合
自力での片付けができる条件を見て、困難だと感じた場合はプロの手を借りることを考えてみましょう。
業者へ依頼すれば面倒な物の仕分けや、大きなごみの運搬、汚れた箇所の掃除など、一気に作業をしてもらうことができ、すぐに部屋がキレイになります。
労力が不要でスピーディな解決こそが、業者へ頼む一番のメリットと言えるでしょう。
ほかにも以下に当てはまる人は業者への依頼がおすすめです。
- とにかくごみの量が多い(足の踏み場がない・ごみが天井まで届いている)
- 賃貸契約などの関係でキレイにしなくてはならない期日が決まっている
- 粗大ごみや家電なども捨てたい場合
- 人手の確保ができない
【業者へ依頼する手順】
- 希望に合ったサービスのある業者を探す
- 気になった業者のWEB上の問い合わせフォームや、メール、電話などで見積もりを依頼する(訪問日時を決める)
- 見積もり内容を確認し、正式契約(作業日程を決める)
【業者へ依頼する際の注意点】
- 業者への見積もりは複数社へ依頼する
- サービス内容の確認をおこなう
- ごみ屋敷清掃の実績がある業者を選ぶ
- 見積もりが明確な業者を選ぶ
いざ清掃業者を選ぼうと思ったとき、その数の多さに「どこへ依頼していいかわからない」という人も多いでしょう。
一般的にごみ屋敷の清掃作業は、「片付け業者」と呼ばれるものから「不用品回収業者」や「便利屋」など、さまざまな業者がサービスを提供しています。
業者が多いからこそなかには怪しい業者もあるため、慎重に選ばなければなりません。
その見極めのためにおすすめなのが「相見積もり」です。
2~3社程度で見積もりを取り、内容や金額を比較することでサービスに対する費用相場や、対応の違いなどを知ることができます。
このとき見積もり内容が細かく、わかりやすい業者を選ぶことで、後から見積もり以上の料金を請求されたり、頼んだはずの掃除ができていなかったりといったトラブルを防ぐことができます。
片付け業者によるトラブルは少なからず報告されているため、できるだけ実績のある業者を選ぶようにしましょう。
【業者へ依頼した場合にかかる費用】
ごみ屋敷の片付けを業者へ依頼した場合、ごみの量や間取り、サービス内容によって費用が大きく異なります。
かかる費用は主に「車両費」「人件費」「処分費」の3つで、状況に合わせて算出します。
一般的な費用相場は以下のとおりです。
間取り | 作業人数 | 費用相場 |
1R・1K | 1~2名 | 30,000円~80,000円 |
1DK・2K | 2~3名 | 50,000~120,000円 |
1LDK・2DK・3K | 2~4名 | 70,000~250,000円 |
2LDK・3DK | 3~7名 | 120,000~400,000円 |
3LDK・4DK | 4~8名 | 170,000~500,000円 |
4LDK~ | 4~10名 | 210,000~700,000円 |
業者のホームページでは、実際におこなった清掃の実例を見れる場合があります。
実例を見ることで自身の状況と比較しやすく、料金の予想も立てやすいため一度見てみることをおすすめします。
当社「ラクタス」のごみ屋敷事例はこちらからご確認ください。
誰にでも「ごみ屋敷」になる可能性がある
今回の記事では、ごみ屋敷に住む人やなりやすい人の特徴についてをまとめました。
ここまで読んでわかるとおり、ごみ屋敷になってしまう人が抱える事情はさまざまで、すぐに解決とはいかないケースも多くあります。
元々の性格や心理状態が大きく関わっていることもあり、それを変える・直すというのは難しいことも多いでしょう。
また、誰もが年を取り、今後どのように生活環境が変わるかもわからないため、自分や身近な人がごみ屋敷を作り出してしまう可能性もあるのです。
ごみ屋敷の問題は何か片付けられない原因があることがほとんどで、その原因を解決しなければ本当の意味での解決とは言えません。
業者に片付けを依頼しても、ごみ屋敷が再発する確率が高いのはそのためです。
解決のためには、ごみ屋敷となってしまった原因を理解し、住人に寄り添ったサポートが大切だと言えます。
当社「ラクタス」ではごみ屋敷清掃の実績を多く持ち、依頼者が安心してご利用いただけるようさまざまなサービスを提供しています。
「心理カウンセラー」など有資格者が在籍し、ごみ屋敷にお悩みの方の状況に合わせてサポートいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
・こちらの記事もおすすめです。
2024-06-05